13 / 30
第2話
動きを止めることなく、信が適当に訊いてくる。
普段の皇ならこんなぞんざいな扱いをされて大人しくしているはずもないだろうが、今はもう口に出されないようにするため必死だった。
「飲む、飲むのはいやだ、」
「飲めっつったろ」
「ほんと、にっ!うぐっ!ごほ…や、やなんだよ」
先走りが皇の唾液と混ざり、顎を伝った。先から溢れてくる量がどんどん増えてきた気がして、皇は声を震わせる。
「あ゛ぁー、結構締まんな、会長さんのノド」
「嫌だ、嫌、だ、っぐぅ」
抽送のスピードが上がってきた。もう終わりだ、と思考を閉ざそうとした時───悪魔のような男の言葉が、降ってきた。
「嫌だやめろじゃなくて、“信様、やめてください”だろ?」
「は………?」
喉を圧迫される苦しさは変わらないはずなのに、一瞬すべての痛みや苦しみが吹き飛んだ。
マコト……さま?さまって、なんだ。
要求された内容は、あまりに信じがたく。
現実逃避のように皇は言われた言葉を反芻した。
「言うなら早くしろ、もうすぐ出すぞ」
「っ!!」
圧迫感が戻ってきた。意識を飛ばしている場合ではないのだ。
信の言う通り、彼自身はもう張り詰めて今にも弾けてしまいそうだった。
「聞こえなかったか?“ま、こ、と、さ、ま。やめてください”、だ」
───俺が、いったい何をしたって言うんだ。
ともだちにシェアしよう!