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第3話
眩暈がする。
己の矜持を保たせていた一本の線が、脳内でぶつりと千切れる音がした。
そのタイミングを狙っていたかのように口を離され、とめどなく声が漏れる。一度開放されてしまったらもう我慢などできなかった。
「ん、んあ、あっ、あ」
「イイ?」
「…っい、いぃ、いい、まこと、」
「上出来」
また唇を奪われたが、むしろ進んで受け入れている。
律動は途切れない。
口と、下半身を同時に責め立ててくる信にねじ伏せられて、皇は理性の糸を解れさせた。
「まだやめたいか?」
「あ、ぃああっ…嫌だ…やめ、んな」
「じゃあ今度は、“イカせてください、信様”だ」
意地悪く笑う信を、皇は眉を寄せて恨めしそうに上目遣いで見た。
熱で潤んだ瞳に見上げられて、信は思わず溜まった唾液を飲みこむ。
「可愛い顔したって駄目だ。言うまで、こうしてやる」
「なっ!あっ、やだ」
すぐにでも欲を吐き出しそうだった皇の根本を、指できつく握りしめた。
破裂してしまいそうな自身を戒められた苦しさと、もうすぐ出せるはずだった希望を打ち砕かれて皇は悲痛な声を出す。
ずいぶん正直になった彼に信は熱の籠った目を細めるが、まだ楽にはしてやらない。
今の今まで完璧に頭から吹き飛んでいたが、これは本来皇を懲らしめるための行為なのだ。
「ぅ…っ、く、きっつ、きちぃよ馬鹿、ん…」
「言え。言ったら望む通りにしてやる」
要求する間も腰は動かす。びくびくと震える彼の胎内が信を締め付け、信のほうも限界が近かった。
だが、皇を服従させなければならない。
「いう、言うからっ!うぁ、あ、いか、いかせ、」
「うん?」
顔を真っ赤にして、必死にこちらを見上げてくる皇。
男は趣味じゃないはずだったが、その顔は悪くないと思った。
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