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第4話 その後の俺様
「皇 昴流の父親から電話が入ったよ」
昴流を抱いてから約二週間が経ったある日。
理事長室に呼び出されて井草に言われたのが、それだった。
もしかして会長さんをレイプしたのがバレ──いや、“同意の上”ではあるが、校内で不純同性交遊に耽ったのがバレたのかと肝を冷やした。
「最近の彼は見違えるほど真面目な生活を送るようになったらしい。家業を継ぐための勉強もするようになって、本当に喜ばしいとお父上は仰っていた」
が、どうやら良い方のお呼び出しだったようだ。
まああの後昴流と話した感じでは、俺がやった事には目を瞑ってくれそうな様子だったんで心配はしていなかったんだが。いや、そもそも合意の上だったけどな。
「ところで信。君はあの皇と友人になったようだな?時期的に考えて君が無関係とは思い難いのだが……
───いったい、どんな魔法を使ったんだ?」
井草の短く切り揃えた髪にはちらほらと白いものが紛れているのに、それによって弱々しさを感じさせるどころかむしろハクがついている。人の母親だとは到底思えない。
井草は頬杖をついて、立たされっぱなしの俺を鋭い瞳で見、笑いながら尋ねてきた。
まさか「一発ヤって体で説得してきた」とは言えないため、俺も笑って誤魔化す。
「魔法なんて使えねえよ。一週間かそこらでどうにかできるわきゃないだろ?
そもそも俺は本当にただ仲良くなっただけだし。
なんか会長さんに変化があったんなら、それは自分で思う所があったんじゃね」
一週間どころか一日でわりとどうにかなっちまったのが実際だけどな。
心の中でほくそ笑みながら言うと、
「まあ、事態は好ましい方向に転がったのだから、今日のところは不問としようか」
井草はやはり威圧的な視線で俺を制し、にやりと笑った。なにもかもお見通しだと言わんばかりだ。
どうも勝てる気がしねえ。
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