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第4話
「……いや、なんというか、どう切り出したものか……。
……お前、なんか最近変わったな」
何かと思えば、もう飽き飽きするほど言われた言葉を再び聞かされた。
またか、と嘆息しつつ昴流は肩を竦める。
「何も変わってねーよ。……ただ、最近がちょっとイカれてただけだ」
水森という男にかまけて仕事や勉強をおろそかにした時は方々で陰口を叩かれたものだが、品行方正に働いたら働いたでこの質問攻めだ。
身から出た錆だと自覚はしているので耐えているが、幼馴染みにまでいちいち驚かれていてはたまらない。
信と出会ったことが、自分の心境に大きな変化をもたらしたのは事実だ。
みんな昴流を人が変わったようだと言って驚いているが、彼は信とのことをきっかけに意識的に自己改革してきたのだ。
あの魔性の男、水森蘭に出会ってからの自分が、愚かだったことはもう認めている。
だが、それについて触れられるのはあまり気分の良いものではない───なぜなら、一連の流れ全てがとても情けなく恥ずかしいからだ。
「そこじゃない」
「は?」
しかし、鏑矢は意外にも他に気付いたところがあったらしい。
てっきり話がそこで終わると思っていた昴流は、頓狂な声を返す。
鏑矢はきりとした柳眉をしかめて、
「あの転入生のことを、好きになったんだろう」
「────えっ」
昴流は硬直した。
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