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第4話

そして、 「すっ……はあああああ!!? お、俺がっ、信を!?好きっ!?はあぁん!?んなわけねーーだろっ!!!」 「顔赤い。ベタか」 「なっ、」 コッテコテのツンデレでは肯定したも同然である。 全く予想していなかった方に話の舵を切られて、元からポーカーフェイスが不得意な彼はもろに感情を出していた。 だが本人としては本当に、信のことなど「食えねえやつ」くらいにしか認識してはいないのだ。 それを見て鏑矢はさらに顔を歪める。 「その男に何された?噂は本当なのか?この学園新聞の見出しみたいな」 ずいと差し出された紙には、“イケメン転入生現る!驚異の秘技に、会長様がメロメロ!?ネコへの目覚め!”とえげつない煽りが書かれていた。 「校内でも噂になってるのは知ってるだろう……、 お前の下半身事情なんて今までほとんど口を出さなかったが、今回ばかりはなあ、その……」 言いにくそうに口ごもる親友に、昴流は目を白くした。 つまり彼は、さんざタチとして男らしく男を攻めていた幼馴染みが、突然受けに回ったと聞いて驚いたのだろう。 しかも鏑矢には、昴流が信に心までも奪われたと見えた。 そんなことを十年来の友人に訊きづらく思うのは当然でもある。 いたたまれない状況に慌てた昴流は、どうにか弁解しようとする。 「だっ、誰が!あんな強姦魔なんか───あっ」 自分でも気付いていなかった信への感情を指摘された焦りもあったのか。 昴流は見事に自爆した。 「強姦………?」 聞いた瞬間険しい顔つきに変わり、どこかへ向かおうとする鏑矢を昴流は椅子から立ち上がって必死に止めた。

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