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第3話

「サピルス、俺の今日の予定はどうなってる」 「午前は、魔王様の謁見式に同席します。昼食を挟み午後は成人の儀でのお召し物一式の袖通しをして頂きます。それが終わりましたら魔王に必要な魔術の勉強……といった所でしょうか」 「今日も夜までスケジュールびっしりってわけか」 「そうなりますね、明後日ですから本番まで」 明後日…… スケジュール表を見つめながら自分で口にした言葉に胸が締め付けられた。 「サピルスは当日、いつも通り傍にいてくれるんだろう?」 「え?……あ、はい」 何かの式典の時はいつもルベウスを傍で見守り役目を果たしてきた。 今回もそれは変わらずするつもりだ。 成人の儀が終わり妃と婚姻を結ぶその瞬間までは…… 「わかった……」 「では、私はこれで……ッ……ちょっ」 ルベウスが短く返事をしたことを確認して、部屋から出ようとした時、突然腕を掴まれ、 「ルベウス……様?」 視線を流すと、そのまま引き寄せられた。 「おまえのその瞳……」 「え?」 そして、覗き込むようにして何かを言いかけたかと思うとそのまま口を塞がれる。 「んんッ……ちょっ……だめ……ッ」 まだ昼間だ。 それにこちらの城には魔王様もいる。 こんなところを誰かに見られでもしたら·····大変なことになる。 「やめ……ッ……て……くださ……いッ」 「……うるさい、黙れ」 やめてと言っても離してくれるはずもなく、それはエスカレートしていくばかり。 それでも止めさせなければと必死に抵抗し、その腕を振りほどいた。 「な、なにを考えてるんですかっ!まだ時間がっ!」 「待てないって言ったら?」 「は?」 こんなことは初めてで、ルベウスが何故こんな行動をしてしまったのか、何故そんなことを言い出したのか僕には全くわからなかった。 「あなたらしくない……何故そんな……」 「俺らしい……か」 「今は大事な時期なのですから……わかりますよね?」 「わかってるよ」 「今夜、あの部屋で待ってますから……今は業務に戻ります」 「わ、わかった……」 部屋を出て、胸に手を当てると酷くドキドキしてした。 あの部屋以外で求められたことは初めてで、たったそれだけのことなのにこんなにもだなんて…… あと少しだというのに…… ──────── ──────

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