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第5話
「イきたかったらちゃんと言え、どうして欲しいか」
「キツく……もっと……ッ……ん」
転がすようにその指先が刺激を与えてももう一歩のところで足りない。
だからもっとと口にしたのに、
「足りない……もっとちゃんと言わないとずっとこのままだぞ」
「そこ……もっと……弄って……ッ」
「どこをどう弄るんだ」
覚束無い僕をルベウスは耳元で焦らすように追い詰める。
「ルベウスの……その、口で……唇で……乳首ッ……噛んで……ッ」
そしてやっとルベウスの望む言葉を告げると、満足げに笑いそのまま身体を反転されるとそこに顔を寄せ強く噛んだ。
「……ッ……はッ……ああッ……!!」
すると身体中の熱がそこに集まる感覚を覚えた次の瞬間、ビクビクと身体中を震わせながらルベウスの手の中に生暖かいそれを吐き出した。
「……イった……のか?」
顔を上げたルベウスがびっくりした表情で僕を見上げ問いかけたが、
「はぁ……はぁ……ッ……」
呼吸が整わない僕はそれに答えることができないまま、無言で荒い呼吸を繰り返した。
「エロすぎだろ」
ため息混じりにそんなことを言われ身体を捩って抵抗すると、僕が吐き出した白濁を後孔に塗りこみながらそれを阻止してくる。
そのままルベウスの熱いそれを突き挿れられると再び快感で身体が震え出す。
「……ッ……んんッ……」
「今夜は、時間ギリギリまで抱くからな」
多分、こうして身体を重ねられるのは今夜が最後。
前夜祭の明日はここに来る時間はないだろう。
だからなのだろうか……
最後だから……
だからこんなにも……
*
「んんッ……また……ッ」
「…………ッ」
「イッ……くッ……!」
「··········ッ」
何度も欲を吐き出し、それでも尚僕達は求め合った。
何かを埋めるように、何度も何度も·····
そこに、ひと欠片でも僕への想いがあるとしたらどんなに幸せだろう。
だけど、そんな贅沢を言ってはいけないとわかってる。
「…………ルベウス……様……」
もうすぐタイムリミットの5時を前に、隣で眠るルベウスを見つめ静かに囁くと微かに唇が動いた。
その唇を自分の人差し指の腹でそっとなぞり、唇が触れるギリギリの所まで顔を寄せると·····それを言おうとして思い留まった。
それは決して口にしないと決めている……
あなたをずっと好きだったなんて……
────絶対に口にしない。
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