真っ直ぐ連れていかれたのは、生徒指導室。 ファイルが雑然と机の上に散らばっていた。 「あ、あの・・・なにも、悪いこと何もしてません・・・けど・・・」 先輩方の顔をまともに見れず、もじもじしながら、下を向いた。 「そんなの分かってる。ただでさえ、人見知りが激しいお前の事だ。そこら辺で、ぶっ倒れられてもこっちが困るからな」 「なんで、その事を・・・」 「悪いと思ったが、勝手に、色々と調べさせてもらった。広瀬真尋――７月１５日生まれ・・・昨日、１６になったばかり・・・再々婚した父親とは暮らさず、今春から、母違いの長姉、真姫と、その夫、有馬智久氏の許で生活している・・・人見知りが激しく、引っ込み思案な性格、帰宅部で、学校内に友達もおらず、いつも一人でいる事が多い・・・以上だ。なんか、訂正する事は！？」 全部、当たっているから、何も言い返せなかった。 よくもまぁ、調べたものだと感心していたら、耳を疑うビックリ発言が飛び出した。 「同姓同名っていうのも、何かの縁だ。今日から、俺らの仲間に入れてやるから、いいな」 「へ・・・・⁉」 いっている意味が分からず、キョトンとして、思わず先輩の顔を見上げた。 「パシリの方がいいか⁉」 それだけはイヤだ‼ ぶんぶんと、頭を横に振った。 「まずは、人に馴れる事から始めようか、なぁ、真尋」 肩に先輩の腕が回ってきた。 終始、笑顔の先輩とは反対に、僕の顔はひきつったまま。 同姓同名というだけで、受難の日々が、幕を開けたのだった。