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彼の友達
ファーストフード店で、軽く食べて、そのあと、ゲーセンや、カラオケ店をハシゴして歩き、家に着いたのは夜7時を回っていた。
「うちまで送って頂きありがとうございます」
「色々連れ回して悪かったな」
「いえ、すごく、楽しかったです‼」
「じゃあまた、明日」
「はい‼」
実をいうと、姉さんは今、ここにはいない。
有馬さんも、この頃、帰宅するの9時過ぎ。
その事は、先輩には内緒。
「挨拶しなくて本当にいいのか⁉」
何度も聞かれたけど、大丈夫ですから‼
そう言って、先輩にムリムリ帰って貰った。
これ以上、干渉されるのはどうしても嫌だったから・・・。
有馬さんから、今晩は、ハンバーグ食べたいって、メール来てたんだっけ。
急いで作ってあげよう。
真尋の作るご飯と、お弁当は美味しい‼って、いつも褒めてくれる。
有馬さんの前では、義理の弟じゃなくて、ふつうの男の子でいたい。
可愛いねって言ってもらうと、ドキドキするくらい嬉しいし。
だから、どんどん有馬さんの事が好きになっているのかも。
この気持ちは、恋する女の子の気持ちと、まったく変わらない。
ドアノブに手を置くと、ガタンって玄関のドアが勝手に開いてビックリした。
「こんな時間まで何してたんだ‼送ってきてくれたの、クラスの子じゃないよな⁉真尋、ちゃんと答えろ‼」
有馬さんの怒鳴り声がしんと静まる通路中に響いた。
「ごめんなさい。今日も遅いのかなってそう思って・・・先輩に誘われて、どうしても断る事出来なかったの・・・ごめんなさい・・・」
普段は穏やかな彼。
怒る姿を見たのは、これが3度目ーー。
「そうか、分かったよ・・・ごめんな、大きい声を出して、吃驚しただろ」
しゅんと項垂れた僕の頭を、有馬さんの大きな手が、撫で撫でしてくれた。
「心配したんだよ・・・最近、帰るのが遅くて、真尋に一人で留守番させるのもかわいそうだと思って、早く仕事を切り上げて帰ってみれば、いるはずの真尋はいないし、うちの中、真っ暗だし・・・義兄さん、真尋に何かあったのではって、気が気じゃなかった。真尋の携帯の位置情報みたら、うちに向かっていたから安心した。お帰り、真尋。義兄さん、お腹が空きすぎて死にそうなんだ。ご飯・・・なるべく早くお願いします」
有馬さんが、優しい笑顔を浮かべてくれた。
「急いで、ご飯作るね‼」
僕の顔にも笑顔の花が自然と咲いた。
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