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大好きな彼は姉さんの旦那様
「有馬さん、お風呂は・・・?」
ご飯を済ませると彼、まだ、仕事が残っているからと、部屋に篭ってしまった。
一時間くらいして、そぉーと、覗きにいくと、読み掛けの本を手に持ったまま、ベットで横になっていた。
吸い寄せられる様に抜き足差し足で、音を立てないように、彼のもとへ。
端っこに腰を下ろして、大好きな彼を見詰めた。
まさに、至福の一時。
寝顔も目茶苦茶格好いい‼
長い睫毛も、一文字に結んだこの分厚い唇も。
頬を、指先でツンツンしてみると、鼻がぴくぴく動いて、しかめっ面する彼。可愛い‼
「ーーーま・・・」
でも、彼の唇が刻むのは、いつも、お姉ちゃんの名前。
子供がいなくても、すっごくラブラブなのは、傍目から見ても分かる事。
僕の事なんか、これっぽっちも彼の眼中にないことくらい分かりきってる。
「有馬さん、おやすみなさい」
唇にキスをしたい衝動を必死で押さえ、立ち上がろうとしたら、手首を掴まれてビックリした。
「人の顔で遊ばないで欲しいな」
「起きていたなら、そう言ってください」
「可愛い顔が見れないからヤダね。真尋、たまには一緒に寝よう・・・」
「うん、でも」
「真姫はいない。遠慮することない」
「有馬さん‼ちょっと待って‼」
戸惑う僕にはお構い無し。
あっという間に、彼の逞しい腕の中に引きずりこまれた。
嬉しくて涙がでそうになり、ぐっと堪えた。
「抱き心地最高。真尋をぎゅっーーとして寝ると、不思議と熟睡出来るんだ」
頭を彼の頬ですりすりされた。
「僕は抱き枕じゃないよ。僕より、お姉ちゃんの方がーーーー」
「真姫の事は聞きたくない」
「ごめんなさい」
「真姫は、オレを裏切った。でも、真尋はそんな事はしないだろ⁉」
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