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大好きな彼は姉さんの旦那様

有馬さんの側に置いて貰えるだけで幸せだもの。 うん‼って笑顔で大きく頷いたら、いっぱい頭を撫でてくれて、ムギューってハグもいっぱいしてくれた。 「有馬さん・・・⁉」 急に静かになった彼を見上げると、穏やかな寝音を立てて、眠っていた。 恐る恐る手を伸ばして、分厚い唇に指をそぉーと這わせてみた。 ツンツンしても、微動だにしない彼。 今度こそ、ちゃんと寝てる。 (今がチャンス‼) 彼を起こさないように細心の注意をしながら、懸命に背伸びして、彼の口唇にそっと唇を重ねた。 (お姉ちゃんには、悪いけど、有馬さんが好き・・・イケナイ事だって分かってる。分かってるけど、彼を想う気持ちには、止められない・・・) 涙を堪えて、彼にしがみついた。 (時間がこのまま、止まればいいのに。そうすれば、永遠に彼の側にいれるのにーー) 決して報われることのない恋。 叶うはずのない恋。 人を好きになるということがこんなにも苦しいなんて、思いもしなかった。 翌朝、有馬さんを見送って、寝不足の目を擦りながら、家を出ると、先輩が外で待っていた。 「真尋、大丈夫か⁉目、真っ赤だぞ」 「考え事をしていたら朝になってしまって・・・」 「そうかぁ~。悩みごとなら聞いてやるぞ。でも、恋愛に関しては専門外だからな」 朝から、元気いっぱいの先輩。 悩み事なんてないんだろうな、きっと。 なんだか、羨ましい。 「悩み事がなくて羨ましいって顔に書いてあるぞ」 「なんで、分かったんですか?」 「真尋って、思ったことが顔に出るよな。だから、分かりやすい」 「えぇ‼そうなんですか」 なんで今まで気がつかなかったんだろう。 有馬さんに、バレバレだった、もしかして。 彼、帰ってきたら、顔をまともに見れなくなる。絶対、気まずい。 (あぁ~~どうしよう) 頭の中、パニック寸前。 「まぁ、こんな俺でも悩みはある。一目惚れした相手に、どうしたら告白出来るか・・・」 急に先輩が真面目な事を言い出して。 彼の視線をふと感じて、顔を上げると、自然に目が合った。

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