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第12話
「そっか、そうだよな。30のオヤジより、同じ世代の子がいいよな・・・広瀬真尋、18歳。なかなかのイケメンじゃないか・・・」
「なんで、先輩の事を・・・」
そこまで彼が知っているとは思わなくて声が震えた。
「真尋の事は何でも知っている。家族構成は勿論、性格、嗜好、スリーサイズから、クラスメイト全員の名前、家族構成、だいたいの性格も把握しているつもりだ。真尋の生活パターンも把握している」
悲しみと狂気に満ちた彼の冷たい眼差しが胸にグサリと突き刺さる。こんな彼を見るのは初めてだ。
「考えたんだよ。どうしたら真尋を独占出来るか、俺のモノに出来るかって・・・家庭に恵まれず、親の愛情も知らないーーそんな子には、とことん甘えさせ、深い愛情を注げば、自ずと俺しか見なくなる。だから手元に引き取ったんだ。真姫に、トラップを仕掛けてね・・・」
そこで一旦、彼は言葉を止めると、自分の指を僕のに絡めてきた。その冷たさに、背筋が凍りつく。
「そんなに怯える事ないだろ」
ガクガクと震える僕に彼は笑っていた。
ふと彼の指を見ると、今朝まで嵌めていた結婚指輪がない事に初めて気が付いた。
「真姫が好みそうな男をネットの掲示板で捜し出し、彼女に引き合わせた。あの尻軽女、不倫相手を捨てて、呆気なく彼に堕ちたよ。罠だとも知らないでね。いい気味だ」
「有馬さんの事を信じてたお姉ちゃんを騙すなんて・・・酷いよ」
「やり返しただけだ。それより、真尋ーー」
空いてる手が、シャツの中へと入ってきて、脇腹を撫でながら、下へと滑り落ちていった。
「いやぁ・・・止めて・・・」
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