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第18話
その日の夕方、6時を回り、先輩が帰ってきた。声を掛けたけど、「あとで」そう言って、そそくさと自分の部屋に入ってしまった。目も合わせてくれないなんて。嫌われるようなことしたかな・・・今までしつこいくらい振り回し、構ってきたのに、手のひらを返すように、冷たい態度を取られ、項垂れて隣の部屋に戻った。先輩のお兄さん方が使っていた部屋。もう、使わないから、ここを使うといいわ、そう言って、香苗さんが案内してくれた。
こんな僕の為に、新しい服がたくさん準備してあった。学校で使う物は、お姉ちゃんが手配してくれた宅配サービスの配達員がさっき届けてくれた。先輩に聞きたい事は山の様にあったのにな・・・そんな事を思っていると、コンコンと、遠慮しがちにノックの音がした。
「真尋ちゃん、主人が帰ってきたわよ」
「はい、すぐ行きます」
この家の家長である先輩のお父さんにはまだ一度も会った事がない。ちゃんと挨拶して、お礼を言わないと。
「先輩・・・」
「一緒に行こう」
廊下に出ると、先輩が待っていてくれた。香苗さんの姿はすでになかった。
「あの、先輩・・・香苗さんが・・・」
「母さんが言った事は本当だ。今日から、真尋の家はここだ。ご飯食べ終わったら、部屋に来い。ちゃんと説明するから」
先輩はぶっきらぼうに言うと、先に階段を下り、1階のリビングに向かって行った。
「待ってください‼」
慌ててそのあとを追った。先輩のお父さんがどんな人か全然知らなくて、聞こうと思ったのに。逃げるようにそそくさと。一緒に行こうって言ってたのに、酷い。
「先輩‼」
やっぱり避けられてる。
僕、何もしてないよ。心当たりもーーあるのはあるけど・・・。
それとこれとは関係ないと思う。
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