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第19話

先輩のあとを追って下のリビングに向かうと、そこで僕を待っていたのは・・・。 「学園長先生が何で⁉それに、購買部のおばちゃんまで何でここにいるんですか⁉」 先輩と出会う前、一人でいる事が多かった僕を何かと気にかけて声を掛けてくれたのが学園長先生と、購買部のおばちゃんだった。 「俺の父と、祖母だ」 「えぇーー‼嘘‼」 先輩に紹介され、腰を抜かすほど吃驚仰天した。足に力が入らなくて、その場にへたり込んでしまった。学園長先生に、うざい‼ほっといて‼とまぁ、今まで散々、失礼な態度をとっていたから尚更。 購買部のおばちゃんにも、何度か無視した事あるから。青ざめた。 「おい、大丈夫か⁉」 先輩に体を支えて貰って、何とか起き上がり、ソファーへ腰を下ろした。 「学園長の名前を見たら、だいたい予想つくだろう」 「名前までいちいち覚えていないもの」 「だろうな、あんな変なのに、ご執心で回りなんて見てる暇ないものな」 「ちょっと先輩‼その言い方はないと思います」 「本当の事だろが」 先輩と言い争っていると、購買部のおばちゃんが、ほほほと、これまた上品に笑いだした。 「喧嘩するほど仲がいいっていうのよ。あなたの事を香苗さんが、真尋ちゃんって呼んでいるみたいだから、私たちもそう呼ぶわね」 って。学園長先生も、ニコニコしていた。 「入学願書で、君の名前を見付けた時、息子と同姓同名なのも何かの縁かと思ってね。色々と、家族の事をを真尋から聞いているうち、うちで引き取るのが一番いい、そう思って・・・まぁ、養子縁組の緒手続きは、弁護士に一任してあるから、何も遠慮する事はない」 「あ、あの・・・」 上手く状況を呑み込めなかった。話しに付いていけない。 混乱する僕に、先輩が、優しく微笑みかけてくれた。 「難しいことを考える必要はない。うちの家族は、真尋の味方だ」 「先輩・・・」 彼の大きな掌が、僕の両手をそっと包み込んでくれた。ビックリして顔を上げると、自然と、目が合った。ぞくっとするくらい精悍な眼差しで見詰められ、体が火照り始めた。ドキドキが止まらない。

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