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第39話

「写真より実物の方が可愛いな」 男の一人が口を開いた。 「写真って!?何の事ですか?」 「何すっとぼけているんだ。『セックス大好き、ラブドラック大好き、乱交相手求む』これ、お前とちゃうのか?」 男が携帯を取り出し、見せてくれたのはゲイ専用の出会い系サイトの画面。全裸姿と、制服姿の僕が笑顔で写っていた。全裸姿の方は、顔だけ僕で、首から下は別人の体だった。いつ撮られたのかさっぱり分からない。 「あれ、もう一人は?」 「あぁ、あの真面目な会社員。さっきまでいたんだが・・・それより、はやくやらせてくれ」 「金が先だ」 「はぁ!?」 「ヤリ逃げされても困るから」 「あんた、末が恐ろしいよ」 「褒め言葉として受け取っておくよ、どうも」 これが久喜さんの本性ーー本当の姿なのだろう。顔色一つ変えず、男達からお金を受け取ると、淡々と枚数を数え、代わりに小さな包みを手渡した。 「一回につき2錠までだ。それ以上使っても構わないが、廃人の後処理代を上乗せで請求させて貰うから」 「はい、はい、分かってるって」 久喜さんに背中を強く押され、バランスを崩し、倒れそうになった僕を抱きとめてくれた人がいた。この腕に見覚えがあった。何度、この腕を枕にして眠った事か・・・。そう、彼はーー。 「あり・・・ま・・・さん・・・なんでいるの?」 かつて大好きだった、まさにその彼だった。 まさか、こんな形で再会する事になろうとは・・・驚き過ぎて言葉が出なかった。

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