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告白 2

「あのさ、テディ。  昨日のあれって、もしかして俺を助けるためにしてくれたんじゃないの?  昨日はあんなに熱があったのに、今はすっかり下がってるから、もしかしたらテディが、その、してくれたから治ったのかなって」  状況から考えると、俺のその予想はたぶん間違ってないんじゃないかと思う。  『男に抱かれたら病気が治る』なんて元の世界ならありえないことだけど、魔法があるこの世界ならそういう不思議なこともあるかもしれない。  それに思い出してみると、昨日テディの行為をすんなりと受け入れ、それを気持ちいいとすら思っていたあの感覚は、たとえは変かもしれないが脱水症になりかけの時に飲む水がおいしいと感じる感覚に似ていた気がする。  俺の体がその行為を必要としてしていたからこそ、それをすんなりと受け入れることが出来たし、気持ちいいと感じたのだとすれば、俺がいきなり男に抱かれるのが好きな性癖になったというのよりは、よっぽど納得がいく。  俺の予想を聞いたテディは顔と手を上げると、重々しくうなずいた。 「やっぱり。  それじゃあ……」  謝らなくていいと言いかけた俺をさえぎり、テディは唇の動きと身振り手振りで説明を始めた。  テディによれば、俺の病気は異世界人特有のもので、男に抱かれればすぐに治るが、普通に安静にしていても5日から10日程度で治るものだったらしい。  きっとテディも最初のうちはセックスせずに自然に治るまで看病してくれるつもりだったのだろうけど、俺が幻聴に怯えて震えているのを見かねて、抱くことで早く治そうとしたのだろう。 「そうだったんだ……。  だったら治してもらえてよかったよ。  昨日は本当にキツかったし、あんな高熱が10日も続いたら、俺、耐えられなかったよ」  高熱も辛かったけれども、それ以上にあの幻聴が怖くてたまらなくて辛かったのだ。  昨日幻聴が聞こえたのは、病気が治らないかもしれないと弱気になっていたせいもあるだろうけれど、あの頭がぐらぐらするようなめまいも原因だったと思うので、あのままテディに抱かれずにいたら、熱が下がるまでに何度もあの幻聴を聞く羽目になったかもしれないと思うと、想像するだけでもゾッとする。 「っていうか、そういうことなら謝らないといけないのは俺の方だよね。  ごめんね。  俺を治すために、テディにあんなことをさせてしまって」  俺の方は体が治療を必要としていたせいか、テディに抱かれることに抵抗はなかったけれど、病気にかかっていないテディの方はそうではなかっただろう。  昨夜の様子だとテディは男同士のセックスに慣れているみたいだったけれど、それでも真面目な性格のテディには好きでもない相手を抱くのは抵抗があったんじゃないかと思う。  俺がテディに向かって頭を下げると、テディは慌てた様子でぶんぶんと首を横に振り、唇を動かした。 「え? 『違う』?  何が違うの?」  俺の問いかけに、再びテディの唇が動く。 『好きだから』  テディの唇がそう動いたように見えて、俺は目を(またた)かせた。

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