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ささやかなデート 1

「今日の弁当、なんか豪華じゃない?」  弁当はいつも朝ご飯を作る時ついでに、適当にサンドイッチやタコスを1種類だけ作って持っていくのだが、今日のテディは3種類のサンドイッチを作っている。  小さなリンゴのような果物も用意されていて、いつもよりもかなり豪華だ。  不思議に思って聞いてみた俺に、テディはなんだか楽しそうにニコニコ笑ってみせた。 「え、なんなの?  何かあるの?」  重ねて聞いても、テディは『内緒』というように立てた人差し指を唇に当てるだけだ。 「えーっ、なんだよ、気になるなぁ」  結局テディは何も教えてくれなかったけれど、笑顔なのだから悪いことではないのだろう。  気になるけれど、昼の楽しみに取っておくことにしよう。  ────────────────  今日は森の中を歩いて種になる木の実や苗を集めるようだ。  小さなスコップや袋などを持って出かけたのは、俺がまだ来たことのない辺りだった。  道のない森の中、帰りに迷わないように印をつけながら進んでいく。  苗は荷物になるので帰りに掘れるように目印をつけておき、種は取り過ぎない程度に拾う。 「あ、小川、って言うか湧き水?  こんなのあったんだね」  前を歩いていたテディが足を止めた場所の近くの地面に、チョロチョロと水が流れているのに気付いて俺は声をあげる。  テディはうなずいて、水が流れてくる上流の方を指差した。  この森はほとんど高低差がなく平らなところにあると思っていたが、テディが指差す方はゆるやかな登り坂になっている。 「あっち行くの?  うん、わかった」  テディにうなずき返し、俺たちはまた歩き出した。  ────────────────

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