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再会2

「悠さーん、久しぶり」 拓は満面の笑みでさっと悠の横に座り、そして両手で悠を抱きしめた。 「お前、何やってんだよ!」 春翔が拓を怒鳴る。 「何って挨拶のハグじゃん。欧米じゃ当たり前でしょ」 「ここはジャパンだろうが」 「なんで春翔さんが怒るんだよ。悠さんは別に嫌がってないのに」 悠は笑顔で、拓のするままに任せている。 こいつ、わざとだな。 春翔は拓を睨み付けるが、拓は意に介さず悠さん会いたかったよ、などと話しかけて今度は肩に腕を回していた。 春翔の横に座った泉が、いい加減にしておけよ、と言うと、漸く(ようやく)拓の腕が悠から離れる。 「なんでお前らがいるの?」 「拓と泉から会いたいって連絡くれてね。じゃあせっかくだから一緒にって思って、二人と日を合わせるのに予定変えて悪かったけど」 春翔の問いに悠が答える。その話しで合点がいった。 ーこいつらのせいで二回も再会をキャンセルされたのか。 「春翔さん、そんな露骨に嬉しそうな顔しなくても」 「日本語おかしいだろ。露骨に嫌そうな顔してんだよ」 「二人だけで会おうなんて狡いでしょ。ねー悠さん、何食べる?」 拓はそう言いながら隣に座る悠の前にメニューを広げる。今度もわざとらしく悠と肩がくっつくように一緒にメニューを覗き込む拓。 「お前、くっつき過ぎだろ」 春翔は再び拓を睨む。 「春翔さん、拓の挑発に乗っちゃ駄目ですよ。それにほんとに俺たちも悠さんに会いたかったし。二人だけで会うのはこれからいつでも出来るじゃないですか」 泉が苦笑しながら春翔をなだめる。 泉は年齢は春翔より一つ下だが、とてもしっかりしている男だ。同性の悠を好きになった自分を認められなかった時に、その考え方こそがおかしいと指摘してくれた。 『好きになるイコール結婚して子供作ってじゃないでしょう?』 大事なのは世間体ではなく好きという気持ちだと言ってくれたその言葉で、春翔は自分の気持ちに向き合えた。 しかし、『二人だけで会うのはこれからいつでも出来る』という今の泉の言葉には素直に頷けない。 春翔は悠が夏のアルバイトを辞める日に、好きだと気持ちを伝えている。そこで悠の方も春翔を意識してくれていたような言葉はあったが、明確な返事ではなかった。 だからこそ今日にかけていたのに。 春翔は悠とくっつくのやめない拓を、もう一度睨み付けた。

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