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闇夜に忍ぶ影2

「蛍? どうした?」 智紀が俺の顔の前に、にょきっと顔を出す …たく、呑気な顔しやがって 俺より3歳も年上なのに、童顔だよな、こいつ 智紀のくりっとした瞳が、きらきらしている 22歳になったのに、10代後半に見えるよ 親父とライさんに大事にされてるからか? 愛情に満ち溢れるその笑顔が、少し羨ましいよ 「でもさー、蛍って、ウチでこんなことしてていいのかよ」 「は? ゲーム、買ったら持ってこいって言ったのは智紀だろ」 「まあ、そうなんだけど。だってさ、道元坂と蛍の組織って対立してんだろ? 俺と仲良くしてて、怒られないの?」 『怒られる』って…俺は餓鬼か? 俺は『ぷっ』と噴き出すと、くすくすと肩を揺らして笑った 「笑うなっつうの。心配してやってんだよ」 智紀の頬が膨らむ その仕草が、可愛いと思える俺は…親父と考え方似てきたのだろうか? 22歳の男が、頬を膨らまして怒って…似合うのは智紀ぐらいだろうな 「ご心配どうも」 「で、どうなんだよっ」 「怒られそうだから、帰るかな?」 「え?」と、智紀が声をあげると、残念そうな表情になり、下を向いた ソファを立った俺は、また智紀の隣に座ると足を組んだ 「…たく、そんな顔するくらいなら、質問をすんなよ。平気だからここにいんだろ? 俺の実家でもあるんだから。好きにさせろって」 「ん。わかった」 智紀がにこっと笑うと、お互いにコントローラを握って、ゲームを始めた 「なあ、本当はマズいんだろ?」 真夜中の4時、ソファに座っている智紀が、床に座っている俺の背中をゲシゲシと蹴りながら、質問を投げた ダイニングテーブルでは、ライさんが顔を伏せて眠っている 深夜2時くらいまでは、ライさんも起きて、俺らのゲームの様子を無言で見ていたけど、耐えられなくなったのか ソファからダイニングテーブルに移動して、顔を伏せて寝てしまった 俺はコントローラを床に置くと、智紀に振り返って微笑んだ 「そう! その顔っ。道元坂とそっくりだよ」 「はあ?」 智紀が俺の顔を指でさしながら、大きな声をだした ライさんは深い眠りに入っていたようで、智紀の声では目を覚まさなかった 「俺を適当に誤魔化すときの顔とそっくりなんだよっ。マズいんだろ? なのに、どうしてここにしょっちゅう来てんだよ」 「平気だって」 「嘘を言うな。う、そ、を!」 「そりゃあさ。組織の中で、親父を敵対視しているヤツもいるさ。母さんの存在が大きかったからね。6年経っても、小さな揉め事もあるよ。だからって、目くじらを立てて、組織の奴らを見張るようにギラギラしてたくねえよ」 「蛍、大変なのか?」 智紀の声が低くなる 俺を心配しているのか?

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