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嫉妬深い男・カイル
西洋の人間の性欲は、日本人の性欲とは比べ物にならないほど強いとどこかで聞いたことがあるが…
本当に比べらんないぜ
俺も性欲の強いほうの人間だと思ってたけどさ
カイルの性欲は、尋常じゃねえよ
セックスで殺される
本気で昨日の夜に、そう思ったくらい
あいつのセックスに関する貪欲さは、すげえよ
俺より細い身体してんのに、何であんなにがっついてんだよ
しかも何なんだよ、あの復活の早さ
あり得ねえよ
俺は昨日の度重なる荒々しいセックスのせいで、腰が使いものにならず、ベッドの上で寝たきりな生活を送っている
腰…つうか、ケツ?
当然、大学も行けていない
俺は携帯を取り上げられているし、部屋に電話ないし
で、すっかり大学はずる休みだ
カイルなんか、鼻歌交じりにスーツに着替えてルンルンした足取りで、部屋から出て行きやがって
なんだ、あの満足気な顔は!…と苛立つくらい、ニヤけた間抜けヅラだった
腹立たしいなあ、もう!
なんで俺だけ、こんな苦しい想いをしなくちゃいけないんだよ
「蛍、お昼…持ってきたよ」
がちゃりとドアが開くと、カイルがお盆に昼食を乗せて入ってきた
朝もそうだったが…カイルが俺の身の回りの世話をしてくれている
ベッドのシーツ替えも、ぐったりと動けない俺の風呂も、腰の立たない俺のトイレまで…全てカイルがやってくれる
イギリス系マフィアのドンであるカイルが…やる
なんか違和感ありまくりで、めっちゃ嫌なんだけど
カイルに逆らうと、また荒々しくて痛いセックスを強要されるから…何も言えねえ
逆らわなければ、優しい
「一緒に、食べようと思って、二人分の食事を持って来たんだ」
お盆に盛ってある料理を俺に見せて、カイルがベッドの上に乗せた
「はい、蛍。お口、開けて。あーん」
「あーん」
俺は素直に口を開けて、カイルがスプーンで運んでくれる食事を食べる
一人で食べられるのに
カイルが食べさせたがるから
それに甘える
痛いのは、もう嫌だからな
どうしてもカイルの言いなりになってしまう
何度も同じ箇所が裂ける痛みを、昨日は味わった
痛くて、熱が噴き出しそうなくらい傷口が熱を持って…あり得ないくらいの電流が身体を駆け巡る
容赦のない…決して、途中で止めてくれないお仕置きは…もう懲り懲りだった
大人しくカイルの言いなりになっていれば、カイルが優しいんだ…それなら、そのほうがいい
「あ、たれた」
飲みきれなかったスープの液体が素っ裸の俺の太腿に落ちる
スプーンをお盆の上に置いたカイルが、俺の太腿をぺろっと舐めた
「…ん」と勝手に言葉が零れた
「ここ、感じる?」
「え? …あ、うん」
カイルが嬉しそうな顔をすると、今度は太腿から股間にかけてツツっと舐めあげた
「ああん」と、声を出しながら俺の全身が震えた
「少し早いけど、デザートを頂こうかな?」
カイルがベッドの上にあるお盆を棚に避けると、ベッドの上に乗り、スーツの上着を脱いだ
また…やるのか?
カイルの舌に少し反応し始めた俺を、優しくカイルの手が包み込む
「ベッドの替えはいくらでもあるから。気にせずに、乱れていいよ」
俺の耳元で、カイルが優しく囁く
別に、替えがあろうがなかろうが…こいつは俺の乱れる姿が好きなんだろうが…なんて心の中で突っ込みを入れたくなる
「あ…あっ、カイル…痛いのは嫌だ」
「わかってるよ。一緒に気持ち良くなろう、蛍」
こいつの昼休みは一体何時間、あるんだよ…てくらいカイルは俺の中で、何度もイッた
たっぷりと潤滑油を塗って、昨日とは全然違うセックスだった
俺にも快感があった
気持ちよくて、頭がぼーっとした
カイルが話しかけるが、ふわふわとした快感の中で、何を言われているのかわっぱりわからなかった
ずるい
こいつは、痛いセックスと気持ちの良いセックスをよく心得ている
どうやれば相手が、素直に足を開き、快感を欲しがるか
よーくわかってて、やってやがる
俺はカイルの思うがままの人形だ
「もっと…カイルが欲しい。行かないで」
立たない腰で、思わず口走る己の欲望に、頭の中にいる冷静な俺が、ため息をはく
何やってんだ…って、遠くのほうで制御する声が聞こえるけど
カイルの甘い雰囲気に、俺は溺れ、そして自分から堕ちていった
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