15 / 34
カイルVS恵
ー蛍sideー
そっか、あれはカイルだったんだ
俺は遠い過去を夢で思いだした
カイルはずっと前から俺を知ってたんだ
いや…母さんとの交渉の場に俺がいたんだ
母さんとの初めての海外旅行で、すっげー喜んでハイテンションでついて行って…即効怒られたんだよなあ
『邪魔よ』
『あんたさえいなければ』
『どうしてあんたがいるのよ』
母さんの口癖のように俺に言ってたなあ
『どうせ何にもできないくせに』とか、ね
そっか、そっか
あの海外旅行のときに、俺はもうカイルのモノになるって決められていたのか
母さんが世界に通用する力を得るために、な
ごそごそっとベッドの中で俺は動くと、隣で眠っているカイルの寝顔を見つめた
「なあ、カイル」
真夜中の暗い室内で、俺はカイルの名を呼ぶ
素っ裸のカイルが、ゆっくりと瞼を持ち上げた
「蛍? どうしたの?」
カイルの長い手が、俺の頬に触れる
「俺、紅茶が飲みたい。蜂蜜入りの」
カイルの目が見開いた
驚いた顔をして、すぐに嬉しそうに笑ってくれた
「蛍、思い出してくれたの?」
「ん。蜂蜜入りの紅茶、俺…大好きだった」
カイルの手が俺の前髪に触れた
愛おしそうに触れる指に、俺は瞼を閉じた
カイルの指がこめかみを通り、顎まで降りると、俺から離れた
ガサゴソと羽毛布団が動く音がして、目を開けるとスリッパを履いているカイルの背中が見えた
「紅茶、淹れて二人で飲もうか」
カイルがベッドの脇にある棚のライトをつけると、椅子にかけてあるガウンを羽織った
「俺も手伝うよ!」
俺はベッドから降りると、カイルの腕に絡みついて一緒にキッチンに向かって歩き出した
「あっ、はん…カイル、これじゃあ…紅茶じゃねえよ」
俺を蜂蜜漬けにした
カイルがイギリスから持ってきた蜂蜜を、俺の熱を持つ部分に垂らし、カイルがじゅるっと音をたてて舐めた
「甘いよ、蛍のここ。すごく甘くて、美味しいよ」
「そりゃあ…あん、カイルが…あっ、んんっ、蜂蜜をかけるから…だろ?」
「ここにも、ね」
俺の秘部に、カイルの指がぐぐっと侵入する
「ああっ、やめ…ここじゃ…まずいって」
キッチンは俺の声を響かせた
「ここは僕と蛍の家だよ? どこで愛し合ったって関係ないよ。ほら、もっと足を開いて。早く僕を受け入れて」
カイルのデカくなったモノがひくひくと頭から汁を出しているのが見えた
「蛍が欲しいって。蛍の中に早く入りたいって、僕のが疼いてるよ」
「俺も…カイルのが欲しい。早く入れてくれよ」
カイルが嬉しそうに笑うと、潤滑油のかわりに塗りたくった蜂蜜の中に、ぐぐっと押しこんだ
「んんぅ、あ、あ、ああっ」
俺の腰が浮く
ぞくぞくと背筋に寒気が走り、カイルの首に抱きついた
俺は、きっとこのままカイルとどこまでも堕ちていくのだろう
カイルの熱が、俺を突く
どこまもで激しく、そして時に優しく動く腰に俺は立っていることさえも難しくなった
「カイル、もっと…もっと俺に頂戴。カイルが欲しいよ」
蕩け出す脳内で、何度も何度もカイルの熱を要求した
「美味しい?」
「ん、美味しい」
俺はカイルの腕の中で、蜂蜜入りの紅茶を口にする
甘くて美味しい紅茶が、俺の疲れた身体を癒してくれる
ベッドの中で、ぎゅうっとカイルの腕に抱きしめられた
「ちょ…カイル、紅茶が零れちゃうって」
「ああ、ごめん。つい、嬉しくって」
「何が?」
「初めて、蛍に求められたって気がしたから」
「え?」
「嫌々、抱かれてるのは知ってたし、わかってたよ。だけど僕のこの気持ちは、もう止められなくて。蛍…蛍…愛してる。傍に居て欲しい。僕の傍に」
またぎゅうっとカイルに抱きしめられた
「わ…わかったから。紅茶が…」
俺はゆらゆらと左右に大きく揺れる赤い液体を零さないようにカップを上にあげた
「蛍、好きだよ。蛍…僕は蛍を愛してる」
「わかったってば」
俺はカップに入っている紅茶を一口で飲み干すと、ぎゅうっと抱きついたまま、離れないカイルの手を握った
「誰かに必要とされるって良いよな。俺も、嬉しいんだ。いっつもさ…邪魔扱いばっかりされてたから。カイルみたいに、俺を受け入れてくれるとすげえ…嬉しい」
「『嬉しい』か。『好き』とは言ってくれなんだね」
「え?」
俺は振り返ると、カイルが寂しそうに微笑んだ
「蛍…好きだよ」
カイルが振り返った俺にキスをした
優しいけど、深いキスで俺は酸欠になりそうだった
カイルの手が俺の身体を探るように、触れてくるとコンコンと寝室のドアが叩かれ、少しだけ開いた
「カイル様、客人が…」
「今日は来客の予定はなかったはずだよ?」
「はい。ですが…道元坂様がお見えに」
親父が?
俺がぱっとカイルのほうを見る
ともだちにシェアしよう!