15 / 17

第15話

「んっ」 唇と唇を合わせ、ついばむだけの、いつもと変わらないやさしいキス。 臣人(おみと)がそのキスを好んでいるのを、ロクは学習しているし、幼いキスを欲しがる臣人を可愛いとも思う。 だが、 (もっと深く繋がりたい) セクサロイドとしても不完全な己の体。 以前はそれを疑問に思う事は無かったが、知識を得た今それがとてももどかしい。 (もっと深いキスがしたい、フェラしてあげたい、臣人の中で達してみたい――) 学習すればするほど、欲しくて欲しくてたまらない。 ロクは臣人の下唇を上下の唇で挟み、唇を強く押し付けた。 「っロク・・・・・・!」 「あっ」 キスの合間のわずかな間に咎めるように名を呼んだ臣人に、ロクはハッとして顔を上げる。 「ごめんなさい、嫌でした?」 「ん、少しびっくりした、だけ」 臣人は唇に手をあて、ロクから視線を外す。 「新しく学習したキスのパターンを試してみたのですが、好みじゃないですか」 本当はただ焦って食いついてしまっただけだが、ロクは適当な理由を並べてごまかした。 「あんまり、好きじゃない・・・・・・かな」 「そうですか、ではこのパターンは設定から外しておきますね」 「うん」 ロクは設定のせいであるかのようにごまかして、臣人の頬をやさしく撫でる。 すると、臣人は外していた視線を戻し、わずかに微笑んだ。 (・・・・・・っ) 瞬間、情報量が増大し、変えたばかりのCPUが悲鳴を上げる。 「ロク?」 膨大な情報を処理する為に熱くなった内部を冷やすため、ファンが回り、排気音が漏れたのに気づいた臣人が、心配そうにロクの名を呼ぶ。 「大丈夫です。設定を少し書き換えていました。」 「・・・・・・そう」 臣人の不安を解消するように、ロクはもう一度頬を撫でた。 (あぶない、フリーズするかと思った) 感情が表情に直結しない旧型の体が、今の瞬間においては有難い。 ロクは表面上は何も感じていないように装い、もう一度だけ、短く触れるだけのキスをした。 「今日は、後ろからしますか」 基本的に対面でする事が多いが、臣人は数回に一度、背面を希望することがある。 今まではロクから提案することは無かったのだが。 (顔を合わせたまま最後までフリーズしない自信がない・・・・・・。) 「ん・・・・・うん」 システムが向上した事によって提案できるようになったのだろう。臣人はそう納得してその提案を受け入れた。 (助かった) ロクは密かにホッとする。 素直にうつぶせになり尻を上げる臣人が愛しくて、後ろからギュッと抱きしめる。 そのまま首筋をついばむように口付けると、くすぐったそうに身をよじった。 覆いかぶさったまま後ろから胸を探り、突起をつまむ。 「んっ」 背中がぴくりと上下するのを確認し、人差し指でこねるように円を描く。 それを数回繰り返すと、小さな乳首は硬さを持って、ロクの指を押し返した。 「は、はっ、ふ」 臣人の息が荒くなる。 それと同時にゆっくりと揺れる尻が、物欲しそうにロクのペニスを撫でつけた。 (も、可愛すぎ) 擦らなくても自在に硬さを変えられるペニスを勃起させ、臣人のアナルに擦り付ける。 「はぁ、は、あっ」 熱い息を吐き、シーツを握り締める臣人のペニスは、ロクからは見えないが、きっと硬さを持って震えているのだろう。 それを確かめるために、手を下腹部に移動させると、ゆるく立ち上がったそれに触れた。 ロクはそれをやさしく握りこみ、ゆっくりと上下させる。 「あっ、ん、んっ」 数回擦っただけで透明な先走りが露を作り、それを塗りこんで擦るとくちゅりと卑猥な音がした。 快感で腰が揺れると、ロクのペニスが後口を撫で、未だ慣らしていない穴がひくひくと開閉する。 (すごいエロい・・・・・・) 何度も見ているはずの光景なのに、何も感じていなかった前の自分が不思議でたまらない。 物欲しそうなその穴に今すぐむしゃぶりつきたいのに、舐めて濡らす事もできない体がもどかしく、いらだつ。 (私はセクサロイドなのに) いらだちを、奉仕することで解消しようと、ロクは臣人のペニスを擦る手を早めた。 「あっあっ・・・・・・ロク、ロクっ」 「はい」 臣人が自分を呼ぶ声に、ロクは手の動きを緩める。 「今日は、いっかい、だけ・・・・・・」 明日が仕事だからと牽制されて、ロクは臣人のペニスから手を離した。 「わかりました」 一回だけなら、挿入してからイかせたい。 ロクはベッドサイドに置いてある潤滑剤を取ると、手のひらで暖めてから、ひくつく穴に塗りつけた。 「んっ、は、」 人差し指を先だけ入れて、広げるように一周させると、指を締め付けるように括約筋に力が入る。 それと同時にシーツをギュッと握り、吐息を漏らす臣人が可愛くて、何度かそれを繰り返した。 「あ、あっ、もぅ・・・・・・っ」 入り口から中々進まない指にじれったくなったのか、臣人が声を上げる。 (おっと、やりすぎた) 少し苛めすぎた事を反省し、指を奥まで突き入れると、敏感な部分を掠めるように指を一周させた。 「ん、」 思ったような刺激がもらえず、抗議するように腸壁が指を締め付ける。 謝罪代わりに指をもう一本増やすと、歓迎するかのようにするりと飲み込まれた。 (エッチな体) 思った言葉は口には出さない。 辱める言葉を、臣人が好まないのを知っているから。 柔らかな体内を少しの間楽しんだ後、出口近くまで指を移動させると、中指の先で敏感なしこりを押し込んだ――

ともだちにシェアしよう!