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第15話
「んっ」
唇と唇を合わせ、ついばむだけの、いつもと変わらないやさしいキス。
臣人 がそのキスを好んでいるのを、ロクは学習しているし、幼いキスを欲しがる臣人を可愛いとも思う。
だが、
(もっと深く繋がりたい)
セクサロイドとしても不完全な己の体。
以前はそれを疑問に思う事は無かったが、知識を得た今それがとてももどかしい。
(もっと深いキスがしたい、フェラしてあげたい、臣人の中で達してみたい――)
学習すればするほど、欲しくて欲しくてたまらない。
ロクは臣人の下唇を上下の唇で挟み、唇を強く押し付けた。
「っロク・・・・・・!」
「あっ」
キスの合間のわずかな間に咎めるように名を呼んだ臣人に、ロクはハッとして顔を上げる。
「ごめんなさい、嫌でした?」
「ん、少しびっくりした、だけ」
臣人は唇に手をあて、ロクから視線を外す。
「新しく学習したキスのパターンを試してみたのですが、好みじゃないですか」
本当はただ焦って食いついてしまっただけだが、ロクは適当な理由を並べてごまかした。
「あんまり、好きじゃない・・・・・・かな」
「そうですか、ではこのパターンは設定から外しておきますね」
「うん」
ロクは設定のせいであるかのようにごまかして、臣人の頬をやさしく撫でる。
すると、臣人は外していた視線を戻し、わずかに微笑んだ。
(・・・・・・っ)
瞬間、情報量が増大し、変えたばかりのCPUが悲鳴を上げる。
「ロク?」
膨大な情報を処理する為に熱くなった内部を冷やすため、ファンが回り、排気音が漏れたのに気づいた臣人が、心配そうにロクの名を呼ぶ。
「大丈夫です。設定を少し書き換えていました。」
「・・・・・・そう」
臣人の不安を解消するように、ロクはもう一度頬を撫でた。
(あぶない、フリーズするかと思った)
感情が表情に直結しない旧型の体が、今の瞬間においては有難い。
ロクは表面上は何も感じていないように装い、もう一度だけ、短く触れるだけのキスをした。
「今日は、後ろからしますか」
基本的に対面でする事が多いが、臣人は数回に一度、背面を希望することがある。
今まではロクから提案することは無かったのだが。
(顔を合わせたまま最後までフリーズしない自信がない・・・・・・。)
「ん・・・・・うん」
システムが向上した事によって提案できるようになったのだろう。臣人はそう納得してその提案を受け入れた。
(助かった)
ロクは密かにホッとする。
素直にうつぶせになり尻を上げる臣人が愛しくて、後ろからギュッと抱きしめる。
そのまま首筋をついばむように口付けると、くすぐったそうに身をよじった。
覆いかぶさったまま後ろから胸を探り、突起をつまむ。
「んっ」
背中がぴくりと上下するのを確認し、人差し指でこねるように円を描く。
それを数回繰り返すと、小さな乳首は硬さを持って、ロクの指を押し返した。
「は、はっ、ふ」
臣人の息が荒くなる。
それと同時にゆっくりと揺れる尻が、物欲しそうにロクのペニスを撫でつけた。
(も、可愛すぎ)
擦らなくても自在に硬さを変えられるペニスを勃起させ、臣人のアナルに擦り付ける。
「はぁ、は、あっ」
熱い息を吐き、シーツを握り締める臣人のペニスは、ロクからは見えないが、きっと硬さを持って震えているのだろう。
それを確かめるために、手を下腹部に移動させると、ゆるく立ち上がったそれに触れた。
ロクはそれをやさしく握りこみ、ゆっくりと上下させる。
「あっ、ん、んっ」
数回擦っただけで透明な先走りが露を作り、それを塗りこんで擦るとくちゅりと卑猥な音がした。
快感で腰が揺れると、ロクのペニスが後口を撫で、未だ慣らしていない穴がひくひくと開閉する。
(すごいエロい・・・・・・)
何度も見ているはずの光景なのに、何も感じていなかった前の自分が不思議でたまらない。
物欲しそうなその穴に今すぐむしゃぶりつきたいのに、舐めて濡らす事もできない体がもどかしく、いらだつ。
(私はセクサロイドなのに)
いらだちを、奉仕することで解消しようと、ロクは臣人のペニスを擦る手を早めた。
「あっあっ・・・・・・ロク、ロクっ」
「はい」
臣人が自分を呼ぶ声に、ロクは手の動きを緩める。
「今日は、いっかい、だけ・・・・・・」
明日が仕事だからと牽制されて、ロクは臣人のペニスから手を離した。
「わかりました」
一回だけなら、挿入してからイかせたい。
ロクはベッドサイドに置いてある潤滑剤を取ると、手のひらで暖めてから、ひくつく穴に塗りつけた。
「んっ、は、」
人差し指を先だけ入れて、広げるように一周させると、指を締め付けるように括約筋に力が入る。
それと同時にシーツをギュッと握り、吐息を漏らす臣人が可愛くて、何度かそれを繰り返した。
「あ、あっ、もぅ・・・・・・っ」
入り口から中々進まない指にじれったくなったのか、臣人が声を上げる。
(おっと、やりすぎた)
少し苛めすぎた事を反省し、指を奥まで突き入れると、敏感な部分を掠めるように指を一周させた。
「ん、」
思ったような刺激がもらえず、抗議するように腸壁が指を締め付ける。
謝罪代わりに指をもう一本増やすと、歓迎するかのようにするりと飲み込まれた。
(エッチな体)
思った言葉は口には出さない。
辱める言葉を、臣人が好まないのを知っているから。
柔らかな体内を少しの間楽しんだ後、出口近くまで指を移動させると、中指の先で敏感なしこりを押し込んだ――。
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