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Ⅰ 愛の巣で朝食を③

パクリ 「ヒャアっ」 ハルオミさんが俺の耳、食べてるぅーッ! 「真っ赤に熟れた苺かと思ってしまったよ」 俺の顔、耳まで真っ赤だ。 でも、だけどっ。 真っ赤にさせた元凶は、ハルオミさんだ。 クイーンサイズのベッドじゃなければ、俺の心臓は破裂してしまう。 毎日ピッタリくっついて夜を過ごして、ハルオミさんに抱っこされて朝を迎えるなんて…… 心臓が幾つあっても足りない。 シングルベッドにこだわるハルオミさんを、どうにか無理矢理にでも説得して良かった……と、つくづく思う。 「ハ、ハ、ハルオミさん、今日は地方の遊説だって」 話題を変えよう。 これ以上赤面して、ドキドキする心臓が、口から飛び出したら大変だ。 「そうだね、ジリリ」 「なんでベッドの中にハルオミさんが?」 「君の夫だからだよ、ジリリ」 それ、さっき聞いた。 「遊説行かなくていいのか?」 「立候補者の応援演説だよ。私の人気で当選しても、国民から信任を得た事にはならない。そうは思わないかい?ジリリ」 確かにな。 候補者は政策で国民の信任を得て、選挙に勝つものだ。 「じゃあ、なんでっ!」 ハルオミさんは昨日、『遊説に行く』なんて、俺に嘘をついたんだ。 「行くよ。今日ではないけどね、ジリリィ~♪」 やられたー★ 俺の思考はまたもや、シュヴァルツ カイザーに操られた。 地方遊説が今日だと思い込んだ俺は……そ、そのっ、ハルオミさんに……明け方…まで~っ……付き合ったんだっ 俺と離れるのが寂しい……とハルオミさんが、深海の色をした孤独なサファイアの目を、斜に伏せるものだから。 すっかり信じ込んでしまった…… シュヴァルツ カイザーの人身掌握術にはまってしまった~★ 通りで『見送りはいいよ』……なんて言う訳だ。 ハルオミさん、出掛けないんだから。 明け方まで付き合った、俺はっ……俺は~っ 「何発目かも分からないミルクをはしたなく滴らせて、陰毛を濡らして私を求めて、私の股ぐらに顔をうずめる君は、この上なく淫乱なワイセツ動物だったよ……ジリリ」 「言うなァァーッ!」 ハルオミさんのあほーっ にやにやするなッ いい男の顔が台無しだわっ 顔の筋トレしろ、顔の筋トレ! ………つか さっきから、ジリリ……って。 語尾に『ジリリ』が付いてるんだけど、なんで? 『ジリリ』を付けるのが、いい男の流行りなのか? αの文化は分からないな。 「ジリリリリィィ~」 「ヒャウ」 ジリリ言いながら耳舐めるなっ 変な振動がひだを撫でて……感じてしまう~ もうっ! ジリリって、なんなんだ? 「目覚まし時計だよ、ジリリ」 「………………はぃ?」 「私の目覚まし時計、止めてごらん。ジリリィ~」 「ハァァァ~?」 朝っぱらから、なんの悪ふざけだ。 ………無視しようかな。 「ジリリィ~」 ダメだ。 無視したら、一日中、耳元でジリリ言われる。 ジリリで鼓膜が馬鹿になる。 ………ハルオミさん、ちょっと鬱陶しい。 目覚まし時計なんだから、停止ボタンを押せば止まるんだろう。 ハルオミさん目覚ましの停止ボタンはどこだ? 「ここか?」 「ジリ…ン」 やった。人差し指で押さえたら、ベルが止まったぞ。 ハルオミさん目覚ましの停止ボタンは、唇だった。 「ジリリリリィィ」 「えーっ」 指を離したら、目覚ましが再起動してしまった。 唇ボタンじゃなかったの~? 「間違えると、君には罰を受けてもらうよ。ジリリィ」 パクっ 指をハルオミさんに食べられたぁ~!!

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