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Ⅰ 愛の巣で朝食を 25
どうしようっ
俺っ、ハルオミさんと繋がって食べる約束してしまったー★
ハルオミさんの事だ……
「夕食の本番前にリハーサルだよ。朝食で練習しようか」
やっぱりー!
夕食前の一発をきめる気満々だァァーッ
……回避だ。
なんとしても回避せねば。
このままでは俺も変態の仲間入りだ。
ピンポーン♪
相変わらず絶妙のタイミングだな、来客のピンポン♪
俺は変態になりたくない!
いや……ハルオミさんの妻になった時点で、既にもう変態への一歩を踏み出してしまったのか?
ピンポーン♪
「やかましいわっ」
俺を変態呼ばわりするんじゃない、来客!
変態はハルオミさんだけで十分だ。
………………
そこはピンポン♪だろう!
俺はまだ変態になってないぞ。
………………
だからピンポン♪!!
ピンポン♪鳴らせよ、来客!
お前がピンポン♪鳴らさないと、変態夫婦 確定だろうがァッ
ピンポーン♪
「鳴らすなーッ!」
ハァハァハァハァッ
………静かになったな。
諦めて帰ったか。
……ガチャン
ハルオミさんは諦めてないな。
また、ハルオミさんが帰ってきたところから練習始めるのか~
「オ帰リナサイ、アナタ♠」
「ただいま、ナツキ♪……棒読みだね」
だって、練習したくないもん。
「緊張してるのかい?」
「ゴ飯ニスル?オ風呂ニスル?」
「セリフもカチカチだね。君の肉棒みたいだよ」
「~~~♠」
なぜ萎えないッ
どうして元気なままなんだ、俺のムスコッ
「種なしの君自身は」
「やかましいわっ!」
思考読むんじゃないーっ、シュヴァルツ カイザー!
種なし言うな。
……種なしだけど~
Ωだから、種なしで当たり前だ!
「練習に付き合ってあげているだけでも、有難いと思え」
「練習し出したのはナツキだよ」
「ハルオミさんが『ガチャン』って言うからだろ」
「言ってないよ」
「言っただろ」
ほら、今だって……
ガチャガチャ
「玄関のドアが開く音してる」
「私が喋っているのに、玄関のドアが開く音も出せたら腹話術だよ」
………………え。
じゃあ、このドアのガチャガチャ……って。
「本物の音だ!」
どうしてッ
オートロックで住人以外は入れないマンションだ。
なぜ潜入できる……
ハッとして、心臓が押し潰された。
急速に熱を失った指先が、白く震える。
ハルオミさんは、日本国 内閣副総理だ……
脳裏によぎる『暴漢』の二文字
体温が青ざめていく。
俺の夫は反政府組織から命を狙われる、政府要人なんだ。
オートロックのマンションに潜入し、今まさに住居に押し入ろうとしている不審者は、反政府組織の暴漢に違いない。
チャイムを押して、留守である事を確認した暴漢は、我が家に侵入して政府機密データを盗む気か。
もしも、ハルオミさんが暴漢と鉢合わせたら……
逆上した暴漢は、なにをするか分からない。
あなたの命が危ない。
俺が、あなたを守らなければ!
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