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Ⅰ 愛の巣で朝食を 32
「ハラダ一等兵。お前のトコロテンは、冷蔵庫の中だ」
ドアを開けて逃亡を図るハラダ一等兵の背中を、慌てて呼び止めた。
俺は、ハルオミさんの妻だ。
おもてなしもせずに、来客を帰す訳にはいかない。
「ハラダ一等兵は、三杯酢派か?黒蜜派か」
「どっちでもいいわーっ」
「私は白蜜派だよ♪」
「白蜜なら冷蔵庫だ。ハルオミさんのを使ってくれ」
「食べんわーっ」
「今、白蜜派だと答えたろう!」
「俺じゃない!あなたの夫だァァッ!」
……そうなの?
「ハルオミさん、言った?」
いぶかしげに見上げた視線は、サファイアの玲瓏に絡め取られた。
「私は白蜜が大好きだよ。……私の『てんつき』でトコロテン、しようか!」
「バカップルー!このタイミングで言うなーッ♠」
「ハラダ一等兵、トコロテンと白蜜は冷蔵庫の中だ。てんつきは棚に入っている」
「てんつき要らん!」
「私の『てんつき』はナツキ専用だ。君には貸さないよ!」
「要らんわーッ!!♠」
「α-大日本防衛軍 軍法 規定条項」
第4条1項
「『命令違反・任務放棄・敵前逃亡を図った場合、または実行した場合、直ちに身柄を拘束。軍法会議にかけた後、程度の大きさによりS級から特B級の厳罰に処す』」
前触れもなく突然、軍法規定条項を語る藍色の視線は、寝室のドア……
ノブに手をかけたハラダ一等兵の背中に注がれている。
「S級処罰は銃殺刑だ」
どうしたんだ?
ハルオミさん、急に軍法なんか語り出して?
「軍法 第61条12項に定められた副総理権限を行使して、君を呼んだ」
そう言えば……
ハラダ一等兵に留守番を頼んだとか……ハルオミさん言ってたな。
「私の許可なく帰る行為は、任務放棄に相当する。
……実に残念だよ。君のような有能な軍人を失うのは」
「俺は、ちょっと~……」
ハラダ一等兵、声が震えてないか?
『S級処罰は銃殺刑』
「せせ、せっかくのお招きなので、お言葉に甘えて、トトっトコロテンを頂きたいなぁ~……なんて、思っていたところでありますっ!!」
「やっぱり食べたかったんじゃないか!
トコロテンと白蜜は、冷蔵庫。てんつきは棚にあるぞ」
良かった。俺のおもてなしは間違っていなかった。
「はっ、有難き幸せ!……されど、自分は白蜜はちょっと~」
「君、白蜜派だよね」
ギランッ
紺碧の双眸が一瞬、矢のような鋭い光を放ったのは気のせいか?
「はっ。自分は白蜜派であります!」
「ナツキの勧める物に間違いはないね。ハラダ一等兵も飛び上がって喜んでいるよ」
「喜んでもらえて、俺も嬉しいよ。……でもハラダ一等兵、飛び上がってはないぞ」
「そんな事ないよ、飛び上がっているよ」
「……いや。ハラダ一等兵、ドアノブ握って固まってるぞ」
『……S級処罰は銃殺刑』
なんか言ったか?ハルオミさん
「……わーい、白蜜でトコロテン嬉しいなー♠わーい♠」
………………ほんとうだ。
「飛び上がって喜んで、出て行ってしまった……」
「君お勧めのトコロテンが早く食べたいんだよ」
「あんなにも喜んでくれるとは……余っ程トコロテンが大好物なんだな。今度、トコロテンセットを贈ってやろう」
「いい考えだね」
「要らんわーっ!」
リビングで、なにか聞こえたようだが~?
『S級処罰は銃殺刑……』
……ん?
ハルオミさん、なんか言った?
「トコロテンセットなんか自分に贈られたら、飛び跳ねて喜ぶであります!……夢のような話でありますがッ!♠」
「夢じゃないぞ」
ハラダ一等兵、贈ってやるからな!
夫婦は似るというが……
フフっ
遂に俺も、思考を読めるようになってしまったか……
俺の夫は、思考を読み、思考を操るシュヴァルツ カイザーだ。
ハラダ一等兵、お前の思考が手に取るように読めるよ。
フハハハハーッ
「悪夢だ……俺は悪夢を見ている……」
リビングで声がしたか?
「気のせいだよ。……彼も一皮剥けたようだね」
「皮?……そうか、ハラダ一等兵も俺と同じ!」
分かるよ!
俺には、思考が手に取るように読めてしまうからな。
「あほー!剥けとるわー!」
……やっぱりリビングで声が聞こえるな。
なにか言ってるみたいだが?
否、そんな事よりも。
ハラダ一等兵が剥けたという事は、俺だって!
今から露茎になるのも夢ではない。
希望が見えてきたぞ!
………剥けてるのって、憧れるよな♪
ヌポン
「なんでっ」
せっかく剥いた包皮をなぜ、ハルオミさんは被せたんだァァー
「皮被りの君に興奮するんだよ!」
シュヴァルツ カイザーに思考を読まれた★
「さぁ、私の腹にいっぱい白蜜を飛ばして踊ろうか!」
「アフゥゥぅ~!」
おっきなカリが蕾をつんつん、クニクニするぅー
「君の夫は私だ……」
ニュプニュプ
ヌ、ヌヌニュボオォンッ!!!
「アァアアアーッ!!!」
割り開いてくるッ
ハルオミさんの卑猥な形に変貌した怒張が、猛々しい熱で俺の秘された空洞を圧倒的な重量で埋めてくるッ
「君の体も、君の思考も……」
「アハゥアアアアッアアーッ!!!」
ビュクンビュクン
快感の熱がおさまらない。
拡張と収縮を繰り返して、欲望に濡れた雄の剛直を奥へ誘 う。
もっと、もっと、来て!
入って!
穿って!!
挿して!!
ハルオミさんしか届かない、一番奥がいい!!
「………大好き」
「当然だよ」
チュッ
汗ばんだ額に唇が落ちた。
「私のものだ。シュヴァルツ カイザーに、体も思考も、君は支配されているんだよ」
Ich liebe dich .Natuki……
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