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Ⅰ 《おまけ+》32.5話『俺の名は……』序章

《おまけ+》 - Wie ist mein Name(ヴィー イスト マイン ナーム)?〔俺の名は……〕序章 - 俺はハラダ。 人型戦略機動兵器 ジェネラル整備班所属のα-大日本防衛軍 一兵卒だ。 ちょうど一年前に一等兵に昇格した俺の事なんて、誰も知らなくて当然だ。 整備班は裏方稼業。 スパナを片手に油にまみれるのが、俺達の職務だ。 戦場を駈ける花はない。 俺達の戦場は、格納庫 ジェネラル発進前のチェックを行い、戦闘から帰還したジェネラルの整備に追われる、不眠不休の地味な職務だ。 だが、俺には誇りがある。 戦場で仲間を守るのは、俺の整備したジェネラルだ。 機体のどんな不備も見逃さない。 不備ゼロで当たり前。 当たり前を日々継続する事が、職務に対する自負と誇りだ。 仲間が俺に、信頼を預けてくれている。 だからこそ、俺は仲間の背中を戦場へ送り出す事ができる。 必ず帰ってくる。 そう信じているから。 心は、常に一緒だ。 俺の整備したジェネラルで、絶対に仲間の命を守ってやる。 戦場を共にしているんだ。 俺達の思いは戦場に続いている。 勝利と無事を祈りながら。 戦場から帰還したジェネラルを最初に迎えるのは、俺達整備班だ。 一番嬉しい瞬間だよ。 仲間との再会を、当たり前にできたんだからな! 俺は戦うんだ。 仲間のために。 格納庫で、一本のスパナを握って…… にゅっぽーん 「俺は、なにを握ってるんだァァァーッ!!」 俺の握っているのは、てんつきじゃないかァァァー!! なに、てんつき握ってるんだッ!俺の右手ッ なに、てんつき押して、にゅっぽーんとトコロテン出してるんだッ!! ………俺 ………なんで、ひとり寂しくリビングでトコロテン、てんつきで押し出してるんだよ……… 副総理! 「俺は、あなたが来いっつったから、来たんだぞォッ!」 にゅぷんっ ……あっ、トコロテン。てんつきから全部出た。 ……取り敢えず、食お。 トコロテン食べたい……つったからな。 心にもない事を口走ってしまったが、食べないと、後で何されるか分からない。 副総理に。 ええっとー……三杯酢、三杯酢。 三杯酢はどこだ? 俺は、三杯酢派だ。 ……どこにあるのか分からん。 副総理宅のリビングは、ダイニングリビングで、オープンキッチンになっている。 ここで毎朝包丁トントンしたり、卵焼き焼いたりしてるんだろうなー。 小綺麗に整理整頓されている、初々しい新婚さんのキッチンだ。 余所様のキッチン荒らすのも悪いしな。 仕方ない。 「今日のところは……白蜜にしよう」 ……………… ……………… ……………… 白蜜……蜜……寝室……副総理……ドスケベ……鬼畜……絶倫……エロエロ変態バカップル…… ……………… ……………… ……………… 只今、ドアの向こうでは寝室の戦、真っ盛りだ。 盛っている…… バカップルが……白蜜垂らして…… 「嫌だァァーッ!!」 〈前編につづく♪〉

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