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Ⅰ 《おまけ+》32.5話『俺の名は……』それから

《おまけ+》 - Wie ist mein Name(ヴィー イスト マイン ナーム)?〔俺の名は……〕それから - 「……正解だよ」 長い睫毛が、深いサファイアの青に降りた。 副…総理? 「君を無実を証明するのは、私でもある」 流した紺碧の眼差しが、俺を捕らえる。 「無実だと言った、君の清廉潔白な心を信じようじゃないか」 一兵卒の、この俺を! 副総理たる、この人は信じくれる。 いい人だ…… いい人じゃないか! ………はめられた気もしないではないが~ なにを疑ってるんだ、俺っ 見ろよ。俺を映す副総理の真っ直ぐで曇りのない瞳を。 こんなにも深く美しい藍色の目を持つ人が、策謀を張り巡らす悪人であるものか! この人には、日本の未来を導く度量がある。 「自分は、どこまでも副総理に付いて行くであります!」 「ハラダ一等兵」 「はっ」 「夕空に輝く宵の明星(ヴィーナス)は私が預かろう」 「はっ」 剥き出しのゴムに触れるのは、さすがにはばかられて、白いティーカップごと「夕空に輝く宵の明星」を副総理に手渡した。 「君は、どこまでも私に付いて来ると……そう言ったね」 カツン 硬質の音が静寂に着地した。 背を向けた背中から、腕がゆっくり下りて。 繊細な指を離れた白いティーカップが、リビングダイニングのテーブルに置かれた。 「はっ」 男に二言はない。 俺は、追いかけるんだ。あなたの広い背中を。 ザッ 足をそろえ、右手をかざして敬礼する。 「日本万歳!軍人の魂に誓って、副総理に付き従い……」 「付いて来てはいけないよ」 ………なぜだっ? 俺は、副総理の気分を損ねる振る舞いをしてしまったのか。 だったら、謝らねば。 今すぐに! 「申しわけ…ぇ……」 「今から私は、ナツキとズッコンバッコン★だよ」 「ギャアァァァァーッ!!」 はみ出している♠ 副総理の股間のパッツパツ黒ブーメランのゴムから。黒い茂みを割って、立派なブツがー!! しかも、オレンジじゃないかッ いつ装着した? なんて早業なんだ。 あのオレンジは、まさしく俺がティーバッグと間違えて袋を破ったゴム 『夕空に輝く宵の明星(ヴィーナス)』だ。 ……うっ♠ どこがヴィーナスだ。 全く可愛らしくない。 可愛らしさのカケラもない。 太い幹 段差のしっかりついた大きなカリ デカい。 雄の象徴が天を仰いで、反り返っている。 神への冒瀆(ぼうとく)だ。 あんなモノが、ヴィーナスであってなるものか。 欲望をたぎらせた凶悪過ぎる代物だ。 「破ってしまった物は仕方ない。君の不始末により、私達夫婦はズッコンバッコン★第2ラウンドだよー!」 嬉しそうだなっ すごく嬉しそうだなっ パッツパツの小さな布地からはみ出して、ガチガチに反り返ったオレンジがブルンブルンしているぞ。 可愛いげのないオレンジと、黒のコントラストが凶暴だ。 「君は私に付き従ってはいけない。ナツキが集中できないから、のぞいてもいけないよ」 ブルンッ 「誰がのぞくかーッ!」 「任務放棄の……」 「S級処罰は銃殺刑、でしょ」 聞き飽きた。耳にタコができる程、聞き飽きたわ。 心配ご無用 あなたの命令は絶対遵守だ。 付き従いもしないし、のぞきもせん! 「ナツキお勧めのトコロテン、食べないのかい?」 「ナァァァァーッ」 にゅぽん、とお皿に盛りつけられたトコロテンに、大量の白蜜が投下されているーッ!! いつの間にっ 副総理は一体、いつ白蜜を大量かけしたんだっ テーブルの上に、白蜜ダク トコロテンが完成してしまってる♠ ………これ、食うのか。 ドアを隔てた一つ向こうの寝室で、変態バカップルが盛っている状況で~♠ 「あのっ、俺~……」 「君、トコロテンが食べたいと言ってたよね」 ギランッ 優雅に持ち上げた睫毛の下で、深海に堕ちたサファイアが心臓を突き刺す。 「はっ、自分はトコロテンが大好物であります!」 「任務放棄の……」 ギランッ 『S級処罰は銃殺刑』 「大好物の割りに、嬉しそうな顔してないね?」 できるかーッ トコロテン食ってる隣でズッコンバッコン★だぞ♠ 『S級処罰は銃殺刑』 「わーい、トコロテン美味しそう~♠」 「君は白蜜派だったかな」 「はっ。生まれてこの方、白蜜一筋であります!」 「それは良かった」 ギャー、白蜜が追加された。 白蜜に白蜜のトッピング要らんーッ ウギャアァァァーッ!! 白蜜盛るなァァァーッ!! 「わーい。白蜜増し増し、嬉しいなー♠」 「君のトコロテンだ。しっかり味わって召し上がれ。 私達は寝室で、愛のトコロテンだよ!」 言うなァァッ!! ドスケベ変態副総理がァァァーッ!!! ……「任務放棄の……」 ウギャアァァァーッ!! 「日本バンザーイ!!💢♠♠♠」 〈チャンチャン♪〉 読んでくれてありがとう。 次回Ⅱ章に突入!乞うご期待!

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