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Ⅱ 瞳の蒼⑨
吐息が耳たぶを撫でた。
「ありがとう」
どうして?
声が届いたの?
シュヴァルツ カイザーだから?
「君の夫だからだよ」
チュッ
真っ赤に火照った耳を、熱い唇が小さくかじった。
『俺の夫』……答えられなかった俺への甘い罰だ。
「愛しているよ」
口の端から垂れた透明な糸を、舌が拭った。
指を引き抜かれた口に、唇が重なる。
指の代わりに差し込まれた舌を追って、舌を絡めた。
あなたとの口づけは、いつだって、とっても甘いね……
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