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Ⅱ 瞳の蒼 23

唇はハルオミさんだ…… 俺、ハルオミさんに口づけされている。 心臓がバクバク悲鳴を上げている。 破裂しそうなくらい、胸が苦しい。 背中の温もりが剥がされた。 ユキトから離されて、ハルオミさんの腕に抱きしめられている。 ……俺、ハルオミさんに独占されている。 「君を触らせたくない」 濡れた唇が耳朶を這った。 「君に与える選択権は一つだ。私を選べ」 「ハルオミさん……」 「余裕のない夫なんだよ」 初めて見た。 揺れる瞳孔で俺を見つめるあなたを…… 普段はなにがあっても、動じる事なんてないのに。 「……俺……ごめんなさい」 「私にも非はある。しかし、少しだけ君を叱るよ。いいね」 こくりと頷いた。 ……ハルオミさん、俺のこと好き? 少しだけ視線を持ち上げる。真っ直ぐ、あなたを見るのが恥ずかしいから。 「かなり、きつく叱った方がいいのかな」 「えっ……」 なにか言った?ハルオミさん。 「なんでもないよ。ただ、フィジ=ネイヴィブルに着くまで、ずっとお説教するかも知れないね」 「うそ」 「夫を疑ったね。お説教だよ」 俺、ハルオミさんの機嫌を損ねる事言ったか? もしくは思った? シュヴァルツ カイザーに思考を読まれた可能性がある。 「お説教が嫌なら、私の口を塞げばいい」 俺の手を持ち上げて、赤い舌がペロリと人差し指を舐めた。 「指ではなく、君の唇で」 そそそっ、そんな! 「但し、それをした時は君からの『おねだり』だとみなす。容赦しないから、覚悟するんだよ」 「ナっ」 鼓動がドクンッと高鳴って、言葉を失う。 サファイアの蒼の瞳に、言葉を奪われてしまった。 余裕のない夫だなんて嘘だ。 こんなに俺を翻弄して。 (ハルオミさんの嘘つきー!) 「お説教しようか。それとも、待ちきれずにおねだりかな?」 やっぱり、シュヴァルツ カイザーに思考を読まれてるっ 「ユキトのいる前で、なんて事言うんだァーッ」 ………………そうだ、ユキト。 俺の背後にはユキトがいたんだ★ きゅっと、後ろから手を握られた。 「お説教が嫌なら、コックピットに来ればいいよ」 ………それって、どういう事だ? 「フィジ=ネイヴィブルまで、快適な空の旅を約束する。俺が操縦を務めるよ」 ええぇぇぇーッ!! にこり、と微笑んだ秀麗な笑顔に俺は固まった。 聞いてない!! 飛行機の操縦が、ユキト 俺とハルオミさんのハネムーンに、弟で恋人で第二夫のユキトが同行する。 これって、滅茶苦茶マズイんじゃ~♠

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