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Ⅱ 瞳の蒼 26

きっと…… ハルオミさんに求められいるのは、幸せな事なんだね。 でも、俺は…… 妻として半人前 不安なんだ。 妻の役割も果たせずに、母になれるのか…… 小さい頃の記憶がなくて。 俺の中には、父も母も……両親の思い出がない。 幼い頃、ハルオミさんとユキトと一緒に暮らしていたらしいんだけど、覚えていない。 兄弟みたいに遊んでたんだって。 ユキトが教えてくれたけど、思い出せないんだ。 ……兄弟の記憶も俺にはない。 もし、子供が生まれたら。どんなふうに接したらいいのだろう。 そこからもう、分からないんだ。 こんな俺が、子を産んで育てるなんてできる訳ないよ。 だったら、せめて。 一人前の妻にならなくちゃ。 あなたが安心して、満足してもらえるような妻に…… ハルオミさん……… 「俺っ」 ワアッ! 体が引っ張られた。後ろから★ 「ナツキは俺の子供を産むんだよ!」 「ユキトっ」 「約束したよね、ナツキ」 なに言ってッ! 「そうだろ、ナツキ」 「あの約束はっ」 αとΩの戦争中だ。 ハルオミさんにユキトから引き離されて、奪われるように結婚したから。 だから! ハルオミさんの妻として、一生添い遂げるのを決めかねていた時に。 「お前の子を産む約束は」 「約束だろ、ナツキ」 「……君。第二夫と、そんな約束してたのかい?」 「ヒィっ」 凍てついている。 サファイアの眼光が氷結している。 「私の子供は産まないけれど、第二夫の子供は産みたい。……こういう事でいいかな」 「そういう事です」 ユキト!お前が答えるな! 「俺は、αの子供は産まないんだァーッ!」 「………なぜ?」 「戦争は終わったんだよ」 うっ。 この言い訳は、αとΩが対立していてこそ成立するもの。終戦した今、子供を産まない理由にならないんだった。 ……『αの子供は産みません。なぜなら、βの子供を産むからです』 「ナツキ!」 「本当なのか!」 「違う!」 声は俺じゃない。 誰だ? βの子供を………って、まさかァァーッ★

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