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Ⅲ Attention, please!⑧

「俺を忘れたら嫌だよ」 背中から引き寄せられる。 首に回された腕にきゅうっと、抱き寄せられて、首筋に顔をうずめている。 ユキトの髪、くすぐったい。 「俺の気持ち、分かってるよね」 うなじの唇が這う。 「ナツキ……大好きだよ」 チュッ 首筋に落とされた唇の熱さに、肩がピクンっと跳ねた。 「アっアっアっ」 大きな手がこすってくる。 「……皮、剥いて欲しい?」 「聞かないで」 そんな事…… クチュクチュ 水音を立てて、固くなった脚の間のやらしい突起が見え隠れしている。 上下する手の動きに合わせて、包皮が伸び縮みしている。 小さな亀頭に被さったり、剥き出たりして、ァアっ!皮がこすれて気持ちイイ! 「ねぇ……ナツキ、どっち?」 フゥっと、ユキトが耳の穴に息を吹き掛けてくる。 「おちんちんの皮、どうしよう?」 プルプル、首を振るけれど。 「分かんないよ。ちゃんと口で言って」 「意地悪……」 「意地悪はナツキだよ」 耳たぶの柔らかいところを甘噛みして、ピチュピチュ濡れた音を奏でる。 「自分だけ気持ち良くなってる」 「フアァ」 「俺の右手、ベトベトになっちゃったよ」 「だって!」 止められないんだ。 先端が垂らす透明な汁を。 「皮被せたら止まる?」 「無理ぃ~」 「じゃあ、剥いて欲しい?」 言えない。 目の前にハルオミさんがいるのに。 ユキトにそんな事をお願いできない。 「……意地悪」 端の掠れた声が鼓膜を引っ掻く。 ユキトが意地悪なんだ…… 「ナツキはすっぽり収まる、俺の手の中サイズだから。こうしたら、お汁が止まるかな」 昂りを覆ったユキトの手が動いてくれない。 「ィヤぁんっ!」 ユキトの体温にやわやわ包まれた怒張がドクドク、ビュクビュク 欲情が膨れ上がる。 熱いよ。 解放したい。 脈打つ白い熱液を早く! 火照った頬を、冷たい掌が包んだ。 「私を求めてごらん」 快楽だけが欲しい思考中枢に、甘美な毒が流れ込む。 あなたの声は、甘い罠だ…… 「私に口づけるんだよ。君の欲しいものをあげよう」 背伸びして…… 少しかがんでくれた唇に、薄く開いた唇を近づけた。 半開きの口から、舌先だけを出して。 あなたの艶かしい下唇を舐めた。 微かに吊り上がった口角が、満足げに頷く。 濡れた唇に。 濡れた唇が触れた瞬間、衣擦れの音がして…… 強く、きつく 逞しい腕の中に、俺が囚われた。 「私の腕の中で後悔するがいいよ」 君はもう、私から逃れられない。

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