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《断章》副総理だって主夫をする!⑫
「私の種は美味しかったかな?」
あわわっ
「それとも種の味を忘れてしまったかい?」
プルプルプル~っ
ガシッ
左右に勢いよく振った頭は両手の中に抱き込まれた。背後から……
耳朶に囁く声。
「どうして?」
鼓動の熱が吹き上がる。
………どうして?って、
「どういうこと?」
ハルオミさん?
「君が忘れたと言ってくれたら、また注ぎ込めるからね」
そそそっ、それって★
「また、いまらちお!」
「イラマチオだよ」
でも……
チュッ、と。
舌先が耳のひだをくすぐった。
「忘れないでいてくれた方が、イラマチオよりも嬉しいかな」
「反則…だ」
そんなの。そんな言い方。
だって。
「忘れるわけない」
だって……
「大好きな人の味なんだから」
ぎゅう……っと。
鼓動ごと、俺の心臓は堕ちる。逞しい腕(かいな)に包まれる。
身動きも、身じろぎも許さない。
背 から包まれた腕の中で、俺の体はハルオミさんと一つになる。
「ハハ、ハルオミさんっ。イったばっか!」
「君はイっていないだろう」
「そうじゃなくって」
抱えられて座らされたハルオミさんの胡座 の上で。
ハルオミさんのが俺の中に入ってる。
「少し柔らかい方が入りやすいね」
ドクンッ
脈打ったのはハルオミさん自身だ。肉ひだの内側が雄の昂りを感じている。
「すぐに大きく固くなるからね」
「もう、なってる!」
言ったそばから、またビュクンッ
ハルオミさんの熱脈がドクドクする。
(熱いよ)
心臓が蕾を打ちつけるみたいだ。
「君の方が熱い」
シュヴァルツ カイザーが俺の思考を読む。
右の掌をそぅっと、左胸に置いた。
「ドクドクしてるね」
「ハルオミさんが俺を触るから」
ドキンドキンッ、胸が高鳴る。
「からかわないでくれ」
悔しいよ。俺だけドキドキして、ハルオミさんは余裕なんだ。
「……ほんとうに、そう思っているのかい?」
ぎゅっと。
背 から抱きしめられた腕の中で。
心臓がドキンドキンしている。
俺の背中で、左胸の……
ハルオミさんの心臓が……
「同じだよ」
俺とハルオミさんの心臓が同じ速さで拍動してる。
「君と同じだ」
君に触れるとドキドキする。
君の熱さにドキドキしている。
君の表情に鼓動が跳ねる。
君はどんな顔を見せてくれるのだろう?
こんな事をしたら、君はどんな顔をするのだろうか?
怒る?
喜ぶ?
拗ねる?
膨れる?
泣いてしまう?
それとも、恨めしそうに私を見つめるのだろうか?
どんな顔も全部、私のものにしたくて仕方ないんだ。
全部、大事な君だから。
大切に、大切に、君を閉じ込めたくなってしまう。
けれども、それは叶わない。
ならば、せめて……
(君の表情…全部引き出して、私の中に閉じ込めるよ)
君の気持ちごと。
捕らえて離さない。
(夫の特権だ)
……なんて私が考えている事は、教えてあげないよ。
君の前では余裕のある男でいたい。
(格好つけるよ)
君に恋する私は、君にずっと恋い焦がれさせたいんだ。
君の気持ちをこれからもずっと、捕らえるためならば、どんなに卑怯にだってなれるさ。
「夫婦は一心同体だよ」
「えっ」
「驚いて可愛いね」
「それはつまり、ハルオミさんも俺に恋……」
答えに辿り着く時間は与えない。
私は卑怯だからね。
「さぁ、一緒にイこうか!」
「はうゥゥゥ~ッ、ピストンがァー!!」
…………………………ァ。
とぴゅんっ
「俺……」
とっさに股間を押さえた抱き枕がズクズクだ。
「ごめん…なさい……俺っ、ピストン5回で~……そぅろーだからぁ」
「いけない子だね」
言葉とは裏腹に抱きしめていた。
強く、強く。抱きしめずにはいられない。
「早漏、なおそうね」
……と言ったけど。
君は君のままでいいよ。
チュっ
うなじに口づける。
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