125 / 292
《断章》副総理だって主夫をする!⑭
………ぽてん。
ベッドの下に落っこちたハルオミさん……は、等身大抱き枕の方だ。
「あっ」
手を伸ばすけれど届かない。
「拾わなくていいよ」
「でも」
ハルオミさんの分身だから、床の上は可哀想だ。
「もう一人の私にばかり構うから」
「わっ」
瞳が飛び込む。
蒼い火の中に……
囚われた。
「嫉妬する」
私が、私に嫉妬する。
「君が暴いたんだよ」
唇が触れる寸前、吐息が囁く。
「私自身すら知らなかった私を……」
(俺が、ハルオミさんを?)
じゃあ………
(いま俺の見ているハルオミさんは………)
「君だけの―」
俺だけの、
「―私だよ」
ハルオミさん。
くすり、くすくす
こそばゆくって、嬉しくて。
お互い笑い合ってキスした。
俺だけのハルオミさん。
こつん。
おでことおでこを、こっつんこ。
額を合わせる。
「君だけの私にしてくれるかい?」
「もちろんだよ!」
頬を包む掌、あったかい。
「私は君の考えている以上に、独占欲が強いよ。後悔しないかい?」
「……そんなハルオミさんが好き」
恥ずかしいっ
額が熱い。頬っぺたも。
でも、ほんとのこと。
ほんとうに、ほんとうに。
「俺だけに見せてくれるハルオミさんが大好き」
だから。
「俺だけに見せてくれるハルオミは、誰にも見せたくない」
………わっ★
突然、体を絡め取られて。ぎゅっとされた。
「似た者夫婦だね、私達は」
逞しい腕の中にいる。
熱い胸板に頬をうずめて。
「一心同体だから当然だね」
「はゥっ」
ずこんッ
突き上げてくる。後ろのつぶらな窄まりを、めいいっぱいこじ開けた雄の怒張が内壁を穿つ。
奥へ、もっと奥へ。
おっきい!
俺の中でハルオミさんが大きくなってる。
「そんな理由だなんて言わせないよ」
サファイアの端に、ベッド下の自分を映した。
ころん……と寝そべる抱き枕を。
「抱き枕にさえ、やきもちを焼く私を、君は好きになってしまったんだ」
君を独占したくて、支配欲にかられて、私しか考えられなくなるように。
「イラマチオをしかけた私の嫉妬も……」
「好き」
「えっ」
先に答えられるとは思ってもみなかったのだろう。
呆気にとられて、ぽかんと口を開いてるハルオミさん、可愛いな。
こんな顔するハルオミさん見たの、初めてかも。
(嬉しい)
「嫉妬も俺のものだから。誰にも渡さないよ」
大事なハルオミさんだ。
その気持ちもハルオミの一部だから、嫉妬ごと、ぎゅっと……
「やきもち焼きのハルオミさんも、俺のもの」
腕をまわして、抱きしめる。
愛してる。
「そうだね。君だけのものだよ」
藍の瞳が淡い光を帯びて揺らめいた。
……思考を読み、思考を操るシュヴァルツ カイザーと呼ばれる私をこんなにもいとも簡単に暴いてしまうなんて。
君という人は、私の思考を超えて驚かせてくれるね。
(それとも)
妻の特権かな?
「君が望む私をあげよう」
「アハゥっ」
衝撃に喉がのけ反った。
ハルオミさんが突き上げてくる。
「激しッ」
ぎゅうっとしがみついた。
腕で、脚で。
ハルオミさんの胡座の上に座って、向かい合って。
ぎゅっとしがみついて、脚と脚でハルオミさんの体躯を挟む。ハルオミさんの体温が熱い。割れた腹筋に直立したアソコを擦りつけて、アフぅ~
「気持ちいいっ!」
「私もだ」
ドクンッ
成長を続ける勇ましい幹が孔を穿ち、肉ひだをこする。
「ピストンぅ~」
下からの突き上げに快感が突き抜ける。意識が真っ白になって飛びそうだ。
「私だけを感じるんだよ」
独占欲を露にするハルオミさんの双眼が、欲に濡れている。
「私の嫉妬を愛せる君なら、私の欲情も愛してくれるね」
ハァハァハァっ
汗が滲む。
きゅぅぅっと後孔で猛る肉棒を締めつけた。
溢れる唾液で濡れた唇を親指の腹が撫でた。
「君の声を聞かせて欲しい」
君の声で……
「私も、私の欲も、私を全部愛していると教えてくれないかい?」
余裕なんてない。
激しく雄々しいハルオミさんに翻弄されるばかりで。
(でも……)
ハルオミさんが、俺を求めている。
応えたい。
応えなきゃ。
ハァハアハアハァ
「………すき」
快楽に突き堕とされ、白い海に浮遊する意識の中で、酸素を求めて動かした唇は、その二文字を紡ぐ事で精一杯で……
「ありがとう」
ズンッと重量を増した熱脈が、一段と勢いを増してヌチュヌチュ、ズコンッ!
卑猥な水音をたぎらせて突き上げる。
欲情も嫉妬も、全部。
「すき。ハルオミさんだから…すき」
「私を全部、受け止めてくれてありがとう。………ナツキ」
愛しているよ。
「一緒にイこうね」
意識が真っ白に染まる。
俺の唇はもう、なにを言っているのか分からなくて。
ただ、ハルオミさんが欲しい。
あなたが欲しい。
瞼の裏に滲んだ蒼いサファイア……
腹を叩く熱が弾けて、俺の中で昂りの慾 も解き放たれて、熱い息吹が吐き出されるのを感じた。
……「君は美味しいよ」
顎まで飛んだ白いミルクを拭った親指を、赤い舌がチロリと舐める。
「ご馳走さま」
やっぱり、あなたは意地悪だ。
そんなあなたにドキドキする俺ってば、どんなあなたも愛しいのだから、どうしようもない。
ともだちにシェアしよう!