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《断章》副総理だって主夫をする!32
両手首をひとくくりにされて、頭上で吊るされている。
ハルオミさんに、片手で……
組み敷かれた俺に逃げ場はない。
この体格差だ。
首筋に唇が伝って、跳ねた体さえ押さえ込まれる。
(どこが文民なんだ)
汗ばんだ肌がぶつかる。
前をはだけたハルオミさんの腹筋割れてる。握力だって強い。
腕力もある。
「そりゃだって、君を悦ばせなければいけないからね。そのための体力は、あり余るくらいでちょうどいいだろう」
鎖骨に浮いた汗に、舌がチロリと囀ずった。
「ハフ…ホ~」
(ハフホミさんの場合……)
体力というより、精力!
「もちろん性欲旺盛だよ。君と私は、アツアツ♪ホヤホヤの新婚♥お盛んカップルだからね!」
シュヴァルツ カイザーに思考を読まれた★
しかも、俺までお盛んにさせられたー★
「雄の雌しべを膨らませている君は、淫乱なお盛ん妻だよ」
「ソコは雄しべっ」
「私の雄しべを悦ばせるコレは、雌しべだよ」
「はぅー」
固い肉がこすってくる。ドクドク脈打って、浮き出た血管から竿を擦り上げる。
「雌しべが嬉しいね。君の汁で、私の雄しべがヌチャヌチャだよ」
「ごめんなさぁい」
「怒ってないよ。君の雌しべが巨根好きなのは、今に始まった事じゃないからね」
「ハヒん」
「おっと、失敬。巨根好きなのは、雌しべだけじゃなかったね?」
蕾の入り口を、ハルオミさんの大きな先端がノックする。
早く!
挿れて。
穿って。
…………………………でも
だけど…………
「怖いんだね」
頬に伝った涙を、指がすくった。
「私のは大きいから、君の望む以上の深い場所まで届いてしまう。……無理もない」
ハルオミさんが、くる。
入ってくる。
「こわい」
俺、こわいよ……
怖いんだ。
「すまないね。体への負担以上に君には、心を疲れ怯えさせてしまったようだ。今は添い寝だけに……」
しようか?………そう………
言いかけた声は、見開いた藍の瞳の奥に沈んでいった。
「ナツキ?」
俺の脚がハルオミさんを挟んでいる。
がっしり挟んで、あなたを離さない。
「怖い」
怖いよ、ハルオミさん……
「あなたが好きで」
大好きで………
あなたを愛する自分が止められない。
もっと、もっと
「もっと」
もっと
強く、深く、
揺るがず、熱く
「あなたを愛してしまうから」
あなたに与えられる愛が怖くて、
変わっていく自分が怖くて、
あなたをもっと、もっと愛してしまう自分が怖い。
怖くて、不安で、でも………
(あなたを愛したいよ)
それでも、もっと!!
だから、せめて………
「あなたを抱きしめさせて」
温もりと温もりを重ねて、鼓動を重ねて。
あなたを抱きしめたい。
「君は………」
手首の戒めが解かれて。
俺の頬は優しい熱に、強く、激しくいだかれていた。
頬と頬が触れて、熱い吐息が鼓膜を穿った。
「………私よりも卑怯な妻だよ」
愛している。
そう、君に伝えずにはいられないじゃないか……
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