144 / 292

《断章》副総理だって主夫をする!33

俺、幸せだよ。 だって、そうだろう? こんなにも好きだと想える人がいる。 好きだと想い合える人がいる。 想いを受け止めてくれる人がいる。 優しく、あたたかく…… 俺をいだいて…… 強く、強く 俺を包んでくれる、あなたの腕が好き あなたの体温が好き あなたの鼓動が好き これからも、いっしょに、いっしょに ずっと、ずーっと 共に鼓動を重ねて、想いを重ねて。 あなたと一緒にいたい。 あなたを抱きしめる。 ハルオミさん! 狂おしい衝動の中で。 「イキたいかい?」 なにかを問われた。 なにを問われたか分からない。 なにも分からない。 ただ、あなたの鼓動が胸を打ちつける。 あなたの体温が俺を抱く。 抱きしめている。 あなたの熱が、最奥(さいおう)を穿つんだ。 あなたを抱きしめる。 あなたが体ごと、俺の想いを抱きしめてくれる。 俺、あなたの腕の中にいるんだね…… 「当然だろう。君と私は夫婦になって、家族になったんだよ」 離さないよ。 君の生涯を……… 「ハルオミ…さ……」 (俺も……) あなたを受け止めたい。 あなたを……… (俺の中に!!) 「いっしょに…………フアァァァアー!!」 意識が弾けて真っ白に染まった。 ほとんど同時に脈動が波打って、俺の中に熱が注がれる。 ドクドク、ドクンッ 抱きしめる。 抱きしめられる。 「……んっ」 汗ばんだ髪が頬にかかった。獰猛な口づけに息を奪われる。 奪われながら、熱が注ぎ込まれる。奥に、もっと奥に。熱いハルオミさんが、俺の中に注ぎ入れる。 ビュク、ビュクビュク、ビュクンーッ 腕がほどかれて、どちらからともなく手を握り合った。 右手に重なるハルオミさんの左手…… 薬指に光る金色の指輪 俺達、夫婦なんだね。 「夫婦だよ」 ぎゅっと、ハルオミさんの右手が俺の左手を握った。 俺の薬指にも金の指輪が輝いている。 「外させないよ」 「外さないよ」 「本当かい?」 「嘘じゃない」 じゃあ、もしも君が…… 「嘘ついたら」 「針千本?」 「まさか。そんなものは飲ませないよ」 もしも君が嘘をついたら…… 「後ろのお口に私を千本飲ーます」 「うそっ」 「嘘じゃない」 サファイアが優しく微笑んだ。 「指切ーった♪」 ………………チュっ♥

ともだちにシェアしよう!