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《断章》副総理だって主夫をする!34
むぎゅ
ぎゅむぎゅむ~
(やっぱり抱き心地いい♪)
抱き枕・ハルオミ♥添い寝ver.
むぎゅうぅぅ~
等身大抱き枕はハルオミさんのお気遣いだった。
総理に最も近い男・シキ ハルオミは多忙だ。
地方遊説で何日も家を空ける事も出てくる……とハルオミさんが言っていた。
Ωの基本的人権が認められたとはいえ、日本にはまだまだ課題が山積みだ。Ωが安全に暮らしていけるように、我が夫は日々尽力している。
この国のため。
君のため
未来の私達の家族のためでもあるからね
そう笑ってた。
(かぞく……)
ぎゅむっ
(わわっ★)
俺っ、なに考えてんだっ
ハハ、ハルオミさんと結婚したんだから、そりゃ将来……家族が増えるかも知れないけれど~
今すぐ、どうこうって話じゃない!
………………今すぐじゃないけど。
遠い未来…でもないのだろうか?
ぎゅむぎゅむっ
「ハフホミはんへっ!ハフホミはんへっ!」
ハルオミさんめっ、ハルオミさんめーっ!!
俺はシルバーリベリオン。
Ωの頂点に立つ、誇り高き戦場の貴公子。
その俺がこんなにも……
あなたに振り回されて
暇さえあれば、あなたの事を考えて
あなたを想い
あなたに想われている事を、なによりも幸せに感じている。
怖いくらい幸せで……
幸せはひとりじゃ作れないって、あなたが教えてくれた。
ハルオミさん
「ハフホミさ……」
「私のほっぺに口づけてくれてるのかい」
「ひゃっ」
優しい温もりが髪をすくった。
「苦しいくらいに抱きしめられて、もう一人の私が喜んでいるけれど、私は少し不満かな」
抱き枕にうずめていた顔を持ち上げると、こぼれたサファイアの瞳が静かに細まった。
「本物の私がそばにいるのに、もう一人の私に甘える君を見るのは複雑だね」
口許を吊り上げた、意地悪な顔のハルオミさん。
そんな顔にすら、ドキンッと胸が高鳴ってしまう。
別人みたいだ。
髪を上げてオールバックにしている。
ハルオミさんが、この髪型に整えた時は……
「行くんだね」
「すまない。緊急の呼び出しだ」
スーツのポケットに携帯電話をしまった。
「君とのおそろの部屋着で、もう少しいたかったんだけどね」
「これっ!」
ハルオミさんとおそろだったんだー★
もっと早く教えてくれ!
俺だって、ハルオミさんとのおそろの部屋着を満喫したかったーッ
(部屋着……)
……着崩れてしまってる~
「ナツキ、ちゃんとおズボンはこうね」
「………」
「おパンツもはかないと恥ずかしいよ」
「~~~」
脱がせたのはハルオミさんだろ!!
「足を通そうね。……そう、次は左足だ。腰浮かせて、足ピーン。
はい、きれいにはけたよ」
うぅ~っ、夫におパンツをはかされてしまった。
しかもこのおパンツ……やけにお尻に食い込む。
すーすー、する~
「私のブーメランは君には大きいね」
俺……ブーメランはかされているのか。ハルオミさんのパッツパツ際どいおパンツ★
俺がはくと、全然パッツパツじゃないけど~
男として複雑だ……
「君に似合うブーメラン、買ってあげるからね」
はみ毛引っ張るな!ハルオミさん♠
「おやおや、またもう一人の私にキスしてしまったよ」
抱き枕に顔をうずめたくなる俺の気持ちを思いやれ。
「出かける前に、君の顔が見たかったのにな……」
ハルオミさんがお仕事に行っちゃう。
また会えるけど。
会えるのは、いつなんだろう?
「やっと、私を見てくれたね」
ふわり
視界に舞い降りたのは、サファイアの瞳の甘い罠……
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