俺の大好きな人は、途方もなく意地悪で優しい嘘をつく。 「君を愛する許しが得られますように……」 嘘だ。 あなたはもう、俺を愛している。 許しなんか得られなくたって、俺を愛するんだ。 あなたには覚悟がある。 世界を敵にまわしたって、俺を愛し抜く覚悟がある。 俺を……… Ω解放軍統帥 シルバーリベリオンを守り抜き、αの敵となる事も厭わなかったあなただから……… 俺は奪われた。 あなたに 俺の気持ちを全部奪ったのは、あなただ。 「この先もずっと、ずっと君が私を愛しますように」 愛さないわけないじゃないか。 「君と結ばれたい」 サファイアの瞳が落としたのは、甘い甘い罠。 一生逃れられない、あなたの罠。 白いベールが俺を覆って、あなたの優しい掌が頬を包んだ。 「君にナイショでウェデイングドレスを買ってしまったよ」 「ズルい……」 「知らなかったのかい？私は……」 ズルい男だよ。 「君を幸せにするためだったら何でもするズルい夫だ」 そんな私を…… そんなあなたを…… 「愛してしまったんだよ、君は」 「あなたを愛してしまった俺は……」 幸せだ。 ベールを指が持ち上げて、額に柔らかな唇がそっと舞い降りた。 ナツキ…… 「式を挙げよう」