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★年越しSP★ ゆく年くる年カウントダウン!!①
今年最後の日、12月31日 大晦日
シキ家は大忙しだ。
「ナツキ、洗ったよ」
「ありがとう。ユキト」
……って!
「なんだ、これはァァーッ」
「ん?風呂場掃除、終わったけど」
なんで……
「なんでワックスがけしたんだーッ」
ツルっツルだ。
「ピッカピカだよ」
「脱衣所をツルっツルのピッカピカにするなァァーッ!」
風呂上がりに滑って転んだら、どうするんだ?
「えっ、でもアキヒトが大掃除はこれで磨くんだって」
ユキトにワックス渡したのは、アキヒトかー!
「統帥ー、窓きれいになりましたよ」
ちょうど窓拭きを終えたアキヒトが戻ってきた。
「う~。外、寒っ!冷えた俺の体、暖めてほしいな?」
「アキヒト……」
「はい♪」
アキヒトが両手を広げている。
「統帥の温もりを感じたいです」
俺の腕の中に……
「あなたを閉じ込めたい」
「………」
「すいません。ずっと外にいたから、ちょっと冷たいですね」
冷えた掌が頬を撫でた。
「でもその分、あなたのあたたかい体温を感じます」
「~~~」
「顔上げてくれませんか?あなたの熱を味わいたいから。唇で舌で、あなたを余す事なく感じたいです」
「アキヒト……」
「どうしましたか?……俺の顔見るの、恥ずかしくなっちゃったとか?可愛いですね、統帥♪」
「二度と俺の顔が見えないようにしてやる!」
「………え、なんで?」
「ユキトにワックス渡した犯人め!天誅!」
受けろォォォーッ
「正義の鉄拳!!」
プシュウゥゥゥー!!
「待って、統帥。正しいのは俺です。俺が正義ですっ」
「ユキトを使って、脱衣所で転ばせようとしているお前のどこが正義だ」
「統帥は転びません。俺が毎日お風呂に入れますから。抱っこしてあげるので安全です♪」
「おい?」
「はい?」
「ここ、シキ家なんだけど~」
「それがなにか?」
なにっていうか……
「アキヒト、お前の名字はなんだ」
「テンカワです」
「シキじゃない」
「ですが、あなたは俺の嫁です♪」
そうだな。
間違ってないよ、お前は。
テンカワ アキヒト
お前は俺の第三夫。
「俺はあなたの運命のβです」
そう。
俺達は多夫一妻制・多αβ一Ω制の日本国民法の婚姻制度において、婚姻関係を結んでいる。
お前は俺の第三夫。
(だが……)
お前の名字は「シキ」ではない。
ここは第一夫・シキ ハルオミと俺の愛の巣「シキ家」なんだァァァーッ!!
「脱衣所で副総理が転んで怪我して入院したら、統帥のお世話は当然、あなたの騎士たる俺がしなければならなくなりますよね?」
「……なっ」
アキヒト……お前~~
「真っ黒♠」
「なんの事でしょう♪俺、統帥を心配しているんですよ」
「お前に心配される謂われはない」
「でも統帥、家事できないでしょ」
うっ……
家事は苦手だ。
苦手だから、シキ家の大掃除に第二夫と第三夫を駆り出した訳で~
(でもっ)
「お鏡さん、飾れたぞ」
お餅を二つ重ねて、橙 乗せて、きれいな鏡餅にデコれたぞ♪
「がんばりましたね♪統帥♪」
よしよし♪
「~~~」
……なんか、ばかにされた気がする。
「そんなあなただから、放っておけないんです!!」
わーッ★★★
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