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★新年SP★おこ💢なハルオミさん⑧

ハルオミさんが好き。 大好きだ。 大好きだから、俺はハルオミさんの妻になって結婚した。 優しいハルオミが好きだし、仕事しているハルオミさんも好き。 見た目だってオールバックにしてかっこいいし、なんてったって副総理! 国を虜にした男だ。 我が夫は、国家を動かす政治家なんだ。 国民が惚れる男に惚れない訳ない。 実力ある政治家。実質日本の頂点に立つ男が、俺にだけ見せる(かお)がある。 俺しか知らないあなたが好き。 贅沢だよね。 俺はたくさんのハルオミさんを知っていて、どんなハルオミさんも全部好きになってしまった。 たくさんのハルオミさんを知ってしまった胸の中は、いつもいっぱいあなたで溢れていて……とても贅沢だ。 「じゃあ、今……」 注ぐ視線の色は、深い藍。 「君に迫る私はどうかな」 壁際に追い詰められる。濡れた髪が一筋、額に落ちた。 「私を拒むかい?」 「ちがう」 俺があなたを拒む訳ない。 「じゃあ、答えは?」 額の髪を払った指が鼻筋をなぞって、唇に止まった。 「お返事を聞かせて欲しいな」 でも、それは…… 答えは一つだけど、それを答えるという事はハルオミさんを受け入れる……という事になる。 「君は夫に性的魅力を感じていないのかい?」 「そうじゃない」 「年が離れていると、こうなってしまうのかな」 あぁ、まただ。 ハルオミさんってばほんと、十歳差にこだわるんだから。 俺は全然気にしてないのに! (寧ろ、俺が気にしてるのはっ) 「どうして、あなたはどこでも勃つんだよっ!!」 ………………言っちゃった。 「勃つのはいけない事かい?」 ……って、ハルオミさん! あなたという人はッ 「どこでも勃たせるなっ、て言ってるんだ!」 「ここは我が家だ。勃っても問題ないよ」 「問題ある。ここは風呂場だ。ベッドじゃない」 「つまりベッドなら問題ないという事だね。分かった。寝室へレッツゴーだ」 「そうじゃないーッ!!」 俺はね、ハルオミさん…… 「場所と時間をもっとわきまえようよ」 お正月 今日は元旦で、ここは朝の風呂場なんだ。 「君が目の前にいるから勃起する。君を見て興奮するな……という事かい?」 「そうじゃなくって」 「そうじゃないなら、勃起しても構わないね」 「構う!」 構ってくれ! 人として、雄として、αとしてー! 「俺は」 「君はッ」 瞬きできない。藍の瞳が間近にある。 αのサファイアが、欲に濡れている。 「なぜ私の虜にならない?」 (ハルオミさん、俺は……) あなたの…… 「私の運命のΩだから」 見つめる双玉の奥に、淡い光が波立った。 「忘れたかい?運命のαの私は、Ωの君を強制的に発情させる事ができる」

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