165 / 292
★新年SP★おこ💢なハルオミさん⑨
……ハルオミさん?
「本気で言ってるの?」
「本気でなければ言わないよ」
でも。
だけど。
「寧 ろ、予告してあげる私は優しいと思うけどね」
深い藍色の双眸は読み知れない。ただただ深海のように果てもなく、得体の知れない蒼が俺を飲み込もうとしている。
「覚えているね?」
そっと……
吐息が触れた場所は、左の耳たぶ。
「ここを噛めば、君は私を求める」
………………違うね。
「雄が欲しくてたまらなくなる。雄なら誰でもいいんだ。恥も外聞もなく、雄の生殖器を求めるんだよ」
指の先が耳のひだをなぞって、耳朶に降りてくる。
俺はΩだ。
生殖に適した期間が定期的に訪れる。その間は雄が欲しくて仕方ない。理性がなくなって……ずっと交尾し続けるんだ。
誰でもいいから求めて、記憶さえなくなるくらい交尾にひたすら没頭して……
でも……
長い夜が明けて、朝の光が差し込んだ時。
あなたがいてくれた。
あなたがいつも隣で、長い夢から目覚めた俺を抱きしめて、髪を撫でて、うなじにキスして……
『おはよう』って。
クシャクシャに乱れたシーツの上で、裸のままで抱き合って、腕の中に包んでくれたから。
あなたの汗の匂いがして。
ぐっしょり濡れたまま、肌と肌を重ねて、おでことおでこをこつん、って合わせて。
おはようの合図をするんだ。
俺、あなたのもとに帰ってきたよ……って。
あなたがいてくれるから、発情期も怖くない。
(怖くなかったのに……)
「悲しいね、私達は」
運命のαとΩだから………
「体だけの関係になる事も可能なんだよ」
ともだちにシェアしよう!