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★新年SP★おこ💢なハルオミさん⑳

紅い鮮花を散らされる。 全身くまなく、花びらの紅色を濡れた唇で施される。鎖骨も、うなじも、耳裏も。 胸も、背中も、太股も、臀部も、柔らかい皮膚の至る場所、至る所に。 ………並の男ならね。 俺の夫は並の男じゃない。 日本国内閣副総理大臣にして、他人の思考を読み、思考を操る《黒の支配者》 陰より、この国を統治するシュヴァルツ カイザーと呼ばれる男だ。 口づけの花を散らすまでもないって、彼は分かってるんだよ。 俺の体も思考もすべて、あなたのものになっている……って。 あなたは理解している。 ……「君に花を贈るのは、特別な日にするよ」 耳朶にささめいた吐息の真意を、俺は理解する。 俺の体に花びらが刻まれるのは、今日じゃない。 俺の知る特別な日と、あなたの思う特別な二人だけの日だ。 「寂しそうな顔しないでおくれ」 頬を撫でられて、ピチャンッと湯船の水面(みなも)が跳ねた。 「そんな顔をさせたいんじゃないよ」 「うん……」 あなたのサファイアに住む俺は、寂しい顔をしているの? あなたの気持ちは分かってるのに。 「おねだり上手だね」 「ちがっ」 「じゃあ、無意識かい?いけない子だ」 違う……って。伝えたいのに、両手で頬を包まれて、首を振る事ができない。 ハルオミさんを困らせるつもりじゃないのに。 「今すぐ唇を落としたい。君の肌に紅い花を散らせたい。雄の本能に抗えなくなりそうだ」 だが…… 「私は特別でいたいんだ。君だけの特別で在り続けたい」 蒼い瞳の波に意識が飲み込まれる。 「並の男でない事が、君だけの特別の証だよ」 「ハルオミさ……」 「君の口で名を呼ばれるのが嬉しいんだ。君は私にいつも特別な喜びを与えてくれるから、私も君に……」 君だけの特別を与えると約束しよう。 「これからも」 副総理である私 シュヴァルツ カイザーと呼ばれる私 君の夫であるシキ ハルオミ 運命のαである私 一人の男である私 私はただの雄だが、特別な男だ。 「すべての私を好きになってくれるね?」 「はい、ハルオミさん」 いい返事だよ……って。 熱いキスを唇に施してくれた。角度を変えて、何度も何度も。 「それじゃあ、もちろん……」 「なに?」 「私のコレも愛してくれるねー?」 ザッブーン!! 盛大に立ち上がった波飛沫の向こうから現れたのはーッ★★★ 「ウギャアァァァ~~!!」 立ち上がったのは波飛沫だけじゃない。 「勃ち上がってる~ッ」 「君のための特別だよー!」 ………ハルオミさんは、並の男じゃない。 並外れた……… 「巨根だよー♥」 ギャアァァァァ~~♠ 「君のためのデカマラだ」 浴槽の壁面。 湯船の端っこ。 追い詰められた俺に、逃げ場はない。 「君だけの愛の表現を、私自身に教えてくれないかい」 熱くて固くてでっかいヤツ、俺の頬っぺたにくっついた!!

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