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■節分SP■君に捧げる愛の歌③

かつて日本国には、そのような風習があった。……と、とある書物で読んだ事がある。 暦の上で明日春を迎える今日(こんにち)。季節の節目の節分に、一年間の無病息災を祈念して、豆をまいて災厄を追い祓うのだ。 その風習の名は『豆まき』 掛け声は…… 『鬼はァ~外!福はァ~内!』 決して、 『種はァ~外!種はァ~内!』 ではない。 そもそも、まくのは豆だ。 (種は……) 「はぅう~」 (たね、は……) 「はぅぅうぅー」 たねはぁぁぁ~~ 「……外!種はァ~内!」 当ててくるッ 種まき専用の脚の間の卑猥なアレ。 「いびつな形に膨らんだ股ぐらの枡は、君にまく種でいっぱいだよ」 やかましいわッ 「アヒルちゃんは大好きだけど、アヒルちゃんの鬼では種まきする気がしないよ。やはり鬼は君でなくちゃ」 「俺が鬼?」 「そう」 それは…… 「ハルオミさんの………ね、ぶつけられる鬼?」 「種だよ。外も中もドロドロだ」 イヤァァァァ~~~!!! 節分は一体いつから、そんな穢れた行事になった!!! 求む、由緒正しき節分行事。 「……私が鬼になってもいいんだけどね」 ハルオミさんが鬼? 「そうだよ」 じゃあ、俺は…… 「ハルオミさんに……たたたッ」 「種」 それ! 「た…ね、ぶつける方」 汚していいの? ハルオミさんの胸も腹も顔も。 (『種は外、種は内』だから……) ハルオミさんの中にも挿れなくちゃ。 そんなのした事なくて、経験もない。だけど俺も雄だ。俺自身の雄を使った交尾のやり方覚えないとな! 「俺、がんばるね!ハルオミさん」 「こら、どこを触ってるんだい?」 「でも」 ココ、慣らさないと痛いよ。 ハルオミさんだって、いつもそうしてくれてるじゃないか。 (そりゃ、俺はハルオミみたいに大きくない) ………………小振りだけど~ 狭い場所に挿れるには、丹念にほぐさないと。 あ、ハルオミはαで自然に濡れないから、えっと。 (こういう時は~) クルリと指に髪を絡ませた大きな掌が、俺の頭を撫でた。 「君は種なしだから」 「………」 「種まき、できないんだよ」 「………」 「種なしだからね」 「~~~」 種なしって、二回言うなァァァーッ!! 「大事なことだから二回言いました」 「~~~」 「鬼は君だ!さぁ、お逃げ」 「ギャアァァァ~♠」 逃げろと言ったあなたが、俺の両手首を握ってどうする? 「なんだ、逃げないのかい?種まきなんだから、鬼は逃げていいんだよ」 ガシイッ 「ハルオミさん、手!」 「うん、私達は夫婦だけど気持ちはいつも恋人だ。恋人繋ぎをしようか」 ガシイッ!! なぜ、両手使って恋人繋ぎだ?? 「そうじゃないィィーッ」 「逃げないのかい?……私に捕まえられて早く種をまかれたいんだね! 逃げる鬼を追いかけて、追い詰めて、種をまくのが種まきの醍醐味なのに。困った淫乱Ω鬼だね」 「ちがーう」 「仕方のない子だ。存分に種をぶつけてあげるよ。どこがいい?顔かい?お臍かい?それとも股間の陰毛をドロドロにするかい?」 「イヤァァァァ~~」 「我が儘を言ってはいけないよ。最初は『種は外』だ。その後で『種は内』だよー!」 「そうじゃないんだァァァ~ッ」 不意に細めた双玉の蒼い光が落ちてくる。 「困ったね」 柔らかに。優しく。 「恋人繋ぎ中だから(しご)けない」 眼差しは木漏れ日のように。 「如何に優秀な股ぐらの雄といえども、こすって刺激を与えないと種を発射できないんだ。けれど、君との恋人繋ぎを解きたくないよ。困ったね」 「知るかーッ!!」

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