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■節分SP■君に捧げる愛の歌⑨

抱きしめて、キスをして、ムチャクチャにされたい…… 夫のあなたに犯されたい。 欲情に理性が抗えない。支配される。支配されたい。 あなたが俺を魅了する。 魅惑する。 あなたが、運命のαだからじゃない。 (あなたがハルオミさんだから) ……そんな事を想っちゃだめ? でも。 俺は…… 俺だって…… 俺も、あなたを俺だけのものにしたい。 (悪いΩだ) 『いけないΩだね』…… ……って、ハルオミさんに言われそう。 あなたの声で、言葉が舞い降りる。あなたの声はいつでも脳内再生できてしまう。 いつでも思い出せる声だけど。 今、あなたの声が。 あなたの声が聞きたくて。 鼓動が叫んでいる。 ドクンッ、ドクンッ 聞きたいって。心臓が求めている。 ドキドキ緊張するのはどうしてだろう。 単純なお願いなのに。 お願いだからこそ。 拒まれたりしないかな? 変に思われたりしないかな? あなたは胸の高鳴りを俺にくれるんだ。 「ねぇ?」 ハルオミさん。 「なんだい?」 俺は、あなたを…… 「誘惑してるのかな」 「そんな事に今頃気づいたのかい」 悪戯なサファイアが微笑む。 「私はとっくに君の虜だ。副総理を手玉にとる君は悪妻だね」 誰よりも愛しいのだから仕方ない。 誰よりも愛したい。 君に愛を注ぎたい。 「私は悪いαだね」 「どうして?」 「君の匂い……」 一房の髪に唇が落ちた。 「私の匂いに染めてしまった」 それはだって、ハルオミさんと同じシャンプー使ってるから。 「同じシャンプーを使って同じリンスを使って、同じボディソープを使う。それが夫婦なんだと、君に刷り込ませたのは私だよ。君を私のものにしたいから……匂いまでもね」 吊り上げた唇が降りてくる。 「独占欲は強いんだ。いい加減、覚えてほしいな」 チリっと熱が耳の裏に走った。 「ここ……」 冷たい指の腹が唇の落ちた痕を這う。 「君には見えないだろう」 うん…… 小さく頷いた俺の顎をとられて口づけを施される。 「君の見る事のできない場所も、私のものだ」 吐息がかかって、間近で唇が笑う。 自信に満ち溢れた独占欲は、どうして心地良いんだろう。 「次はどこを私のものにして欲しい?」 「そんなの……」 恥ずかしくて言えない。 「あなたはシュヴァルツ カイザーだろ」 「おや?違うって言ったのにね。シュヴァルツ カイザーは君の夫じゃない。君の思考は読めないから、君の口で言ってくれないか」 「意地悪だ……」 「言ってくれない君が意地悪だよ」 あなたはやっぱりシュヴァルツ カイザーだよ。 俺はどんどん、あなたを好きになっていく。 気持ちをあなたに奪われる。 思考を読み解かれて、捕まれた心はあなたから離れられない。 あなたは俺だけのシュヴァルツ カイザーだ。 「……そう思ってくれてるのかい」 ほら、やっぱり思考を読んだ。 「嬉しいね」 髪を撫でてくれる大きな手が心地良い。 ねぇ、ハルオミさん。 俺の名前を呼んでほしいな。 名前を呼んで、あなたのものだって証にして欲しい。 俺のシュヴァルツ カイザーは、思考を読んでくれるよね。 「ナツキ」 ギュルルルルゥ~ 「………」 「………」 「お腹が返事してくれたね」 (なぜッ) どうしてーッ 今、このタイミングでお腹が鳴るんだァァーッ!! (穴があったら入りたい) 「君の穴に挿れる事ならできるよ♪」 やかましいわっ 勝手に思考を読むんじゃない!シュヴァルツ カイザー!

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