186 / 292

■節分SP■君に捧げる愛の歌⑩

俺のお腹め! 腹の虫め! なんてタイミングで鳴くんだーッ 「……恵方巻き」 ギャー!ハルオミさんがいらん事思い出してしまったじゃないかー♠ 「そうだったね」 額に指を当て、首を傾げて視線を流す。 「恵方巻きを所望していたんだった」 無駄にカッコよさを垂れ流すんじゃない。 台詞と顔が合ってないぞ。 「果たしてそうかな?」 ……ハルオミさんが悪い顔してる~ 「私が丸かぶりしたいのは、この世の何を差し置いても譲れない恵方巻きだよ」 ゾゾゾー なぜ悪寒が走るッ 「私が食べたいのは海鮮巻きだ。さぁ!タルタルソースはたっぷり用意しているよー!」 背筋を這い上がった、このとてつもない寒気は気のせいじゃない。 タルタルソース、タルタルソース~~ 白い、白いソース……… 「ギィヤァァァー♠♠♠」 額にかかる前髪を、指が払う。 「気づいてしまったようだね」 俺は…… 君は…… 「「シュヴァルツ カイザーの妻なんだーッ!」だよ♥」 夫婦は以心伝心なんだ……… (ハルオミさんのタルタルソースの正体が、俺には分かってしまう~) そそそ、その正体は…… 「種汁」 「言うな!」 あぁ、もうっ。この人はどうしてっ。顔はいいし、優しくて仕事もできて毅然としていて、夫として申し分ないのに。 配慮という名の思いやりを知らないんだーッ 「ナツキ……」 大きな掌が俺の頬を撫でた。 「私は政治家だ。日本国副総理大臣の職務にあり、実質我が国の頂に立っている。国民に情報開示する義務があるんだ」 あなたの手に頬が包まれた。 「タルタルソースは種汁だ」 「二度も言うなァァーッ!」 「家事分業は当たり前。良き夫は料理もしなくてはね。さぁ、海鮮巻きを作ろうか」 魅惑の双眸が降りてくる。蒼い蒼い欲情の波が瞳の奥で揺れている。 鼓動の高鳴りが押さえられない。 ドクンッ、ドクンッ あなたに映る俺がいる。あなたは俺の心音まで見透かしているのだろうか…… 秀麗な指先が下唇をなぞった。 「タルタルソース、お味見するかい?」

ともだちにシェアしよう!