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■節分SP■君に捧げる愛の歌⑪

「ソースはたっぷりかけようか!」 「かかかっ」 かけるって、どこに~?? ……ダメだ。その質問は絶対聞いてはいけない。 「もちろん、君のお顔だよ」 「ギャアァァァー♠」 俺はなにも聞いてない! どうして答えるんだ、シュヴァルツ カイザー! 「思考を読むなっ」 シュヴァルツ カイザーの無駄遣いするな! 「夫婦は以心伝心だよ」 違うぞ、シュヴァルツ カイザー。お前は間違ってる。 思考を読むなら最後まで読め。 俺っ……「絶対に聞いてはいけない質問」だって付け加えたよなァァ~っ 暖かな体温が触れる。 大きな手が降ってきた。蒼い眼差しに木漏れ日のように包まれて。 「夫婦に遠慮はいらないよ」 「遠慮してるんじゃなくって」 色気の無駄遣いするんじゃない。 あなたの色気の使い方は間違ってるぞ。 「耳まで真っ赤だね。体温が熱い」 「見ないで」 あなたに見つめられると…… 俺、変になる。 心臓が胸を破って飛び出しそう。 ドキドキ、ドキドキ 高鳴る鼓動が止まらない。 あなたが…… (運命のαだから……) 「私だからだよ」 唇が囁く。 「弟から君を奪い取ったのは運命じゃない。私の意志で君を奪った。誰にも許しなんて請わないさ。例え君にも許しは請わない」 私という人間を肯定できるのは、私だよ。 「君はユキトと添い遂げる運命だったのかも知れない。だが、それが運命でも私は君から運命を奪う」 獰猛な唇が噛みつく。 「私は、君の運命をねじ曲げたαだよ」 でも……… そうだとしても……… 今はもう……… 「好き」 あなたが好きです。ハルオミさん……… 「いけない子だね、君は」 どうして、そんな事を言うの? こんなにも優しく、優しく労って、あなたの右手は俺の髪を撫でてくれるのに。 ハルオミさんとユキト。 俺には運命のαが二人いて…… アキヒトは運命のβで…… 「悪い子だ」 そんな事を言う理由を、ハルオミさんは教えてくれない。 優しく愛しく髪を撫でるばかりで。 あなたの掌が心地良くて。 温もりが心地良くて。 きっと、俺はあなたに堕ちていく。 これからも、あなたに堕ちていくんだ。 蒼い瞳の深海奥深くに。 「君を誰にも見せたくないよ」 誰にも。 君を見ていいのは私だけだ。 ふわん シーツが舞った。 大好きなアヒルちゃんがベッドの外に放り出される。 しっ 口許を塞がれた。 人差し指で。 どうして?ハルオミさん。 「私はシュヴァルツ カイザーだからね」 謎めいた微笑みに心臓がキュンっと鳴る。 「君の思考を奪ってしまおう」

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