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★〔5/6ゴムの日記念〕★美味しい時間〔前編〕

「ナツキ、スープ皿はこれでいい?」 「右から二番目のな」 「特製玉ねぎドレッシング出来ましたよ。味見して頂けますか?統帥」 「……うん、美味しい!」 「パンが焼けたね。ふわふわの焼き立てほやほやだ。私達と同じだね」 「えっと~」 それは、どういう意味ですか?ハルオミさん? 「私達も、アッツアツほやほやの新婚さんだよ」 ……死語です。ハルオミさん…… 「おや?どうしたんだい?ぼーっとして。私に見惚れてしまったかい」 大きな手と手で俺の頬を包んでくれる。 キュン……ってなる場面だよね。 おかしいな?鼓動がキュンキュンしない。もしかして倦怠期?そんな筈はッ 「嬉しいよ。激アツ新婚さんの新妻は、私にベタ惚れだね」 ……激アツか。ちょっと今っぽくなったかな?がんばれ、ハルオミさん♪ 「ワワっ!」 突然、ハルオミさんとの距離が開いた。なぜだッ? 「新婚さんなのは兄上だけじゃありません」 「ワワっ!」 俺の腕を掴んでいるのは、ユキト。 じゃない!今度はアキヒトだ。 「そうだぞ、愛人。新婚なのはお前だけじゃない」 「愛人って、お前も愛人だろう!」 「ワワワーっ!」 ユキトに腕を引っ張り返される。 今度はアキヒトがっ 俺の体が二つに裂けてしまう。 先に手を離した方が、本当の旦那様ですよー 「では、私が君を一番に愛している本当の旦那様だね」 「違う!」 「違います!」 両腕をギュウッと掴まれたまま、両側から突き刺す視線が飛んだ。 「元はと言えば兄上!」 「あなたが元凶でしょう!」 怯みもせず、フッと口許を吊り上げた仕草は優雅と呼ぶに相応しい。 「第一夫の私が妻の愛を独占するのは当然だよ」 チュッ♥ 「アァァアアーッ」 「ナァァァァーッ」 両腕を拘束された俺は唇までも拘束されてしまった。 ハルオミさんの唇で…… 俺には、三人の夫がいる。 第一夫はハルオミさん(運命のα) 第二夫がユキト(ハルオミさんの弟で、もう一人の運命のα) 第三夫がアキヒト(自称・運命のβ) 三人とも、俺の大切な旦那様だ。 Ωの俺はこの内、誰かの子供を産まなくちゃならないんだけど~……ん?もしかして全員か? 「出来る事なら、私以外の子は産ませたくないね」 「俺の子を産むんだよ!ナツキ!」 「一人目は俺の子。二人目は俺の子。三人目は俺の子。四人目は俺の子。五人目は……」 「いつまで続くんだッ、愛人!」 そうだぞ、アキヒト。 「俺の体がもたない」 「大丈夫です。統帥は淫乱だから♪」 ……………… ……………… ……………… 「は?」 「聞こえませんでしたか?統帥は淫乱です♪」 ナアァァァァアアーッ!! こらァーッ、第一夫と第二夫! 二人でうん!ってうなずくなァァッ♠ 「淫らな君に一番相性のいい種は私だよ。肉ひだもお顔も真っ白にしてあげよう」 「俺だよね、濃ゆい種あげるから。朝まで股がってていいよ」 「俺の種でお腹いっぱいにしてあげますよ♪上の口からも、下の口からも」 「ナナナッ!」 種、種、種って、お前達~~ 「種ってー!!」 「知らないのかい?」 「そうなの、ナツキ?」 「統帥、お子様ですね。それともわざと……ですか?」 種とは…… 種っていうのはね…… 種と呼んでいるものは…… 「「「精子だ💙」だよ♥」です💚」 ムギャアァァァァーッ♠♠♠ 「おっと」 両脇を第二夫と第三夫に抱えられて、肩を第一夫に受け止められた俺は悪くない。 「落ち着くんだよ、ナツキ」 「興奮しちゃったんだね、ナツキ」 「深呼吸ですよ、統帥。ヒッヒッフー、ヒッヒッフー」 おい、第三夫。それ、深呼吸じゃないな。 「ヒッヒッフー」 「ヒッヒッフー」 第一夫、第二夫、一緒にやるな。 お前達はなにを産むんだ? 「産むのは君だよ」 「俺の子を」 「俺の子です!」 「私の子だよ!」 ギャアァァ~!! 話が振り出しに戻ったー!! 「おっと、ナツキが興奮してしまったよ」 だから!俺は悪くないんだ。 卒倒したのは、お前達のせい! 「お風呂に入って暖まっておいで」 えっ…… 「お風呂沸かしておきましたから」 「ナツキの好きな『柚子湯のもと』入れといたよ」 お前達?? 「夕飯の用意は私達がするから、ゆっくり浸かってくるんだよ」 夫達が優しい…… どうしたんだ???

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