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★〔5/6ゴムの日記念〕★美味しい時間〔後編①〕
……ちん……ちん~~~
『……キ?……ツキ』
……ちんゥ~~ぅぅう、ちん~~
『もう、どんな夢見てるんだよ』
『寝言から察するに男性器の夢ですね』
『ちんちん連呼して、恥ずかしいよ。エッチなんだから~』
『欲しいのなら、あげますよ?』
………
………
………
『シキ ユキト……』
『テンカワ アキヒト……』
………
………
………
『『脱ぐ!』ぎます!』
「脱ぐなァァァァーッ!!」
プシュウゥゥゥーッ
ハァハァハァ
頭から湯気出して寝てろ。
怒りの鉄槌!三連プシューだ。
なにが欲しいって?俺はうなされてたの!
ちん……男性器を連呼してたんじゃない。
それもこれも、ハルオミさんが変な数え方するからだ。
……あれ。
手応えがないぞ。
三連プシューのトリを飾るラスボスどこ行った?
「君の思考は読んでいるよ」
「ワワっ」
「おはよう、愛しい君。のぼせた君をバスルームからすくい上げたのは、私だよ」
ハルオミさんは思考を読み、思考を操る黒の支配者
「 君の思考が急に途切れて驚いたよ」
思考を読む能力に助けられたんだな、俺……
アレを数えて人生の幕を閉じるだなんて、真っ平ご免だ。心の中で一応、礼だけは言っておこう。
「ちんこを数えて興奮してしまったんだね!」
「ちがう!」
「違わない!君は無類のちんこ好きだ!」
「ナァアアアアーッ」
プシュ
「おっと。いけないね」
クスリと笑った吐息が吹いて、犯された耳たぶが熱い。
「湯気を出したら倒れてしまうよ?」
大きな掌が額を撫でる。
「真っ赤だよ、君。また倒れてしまわないか心配だ」
ちがうよ、ハルオミさん。
俺の顔が熱いのは、あなたがそんなふうに触れるから。
頬を撫でて、鎖骨をなぞって、指の腹が下唇を這う。
「君は私のΩだよ。私のものに触れて、どうしていけないんだい?」
(ずるいよ)
あなたは……
思考を読んで
あなたの前で、俺の想いは隠し事ができなくて。
(ずるい)
「ずるいのは君だ」
指先に絡んだ髪
「君の前で、本心を隠せなくなってしまったよ」
くるり
指先に絡んだ髪が切なくほどける。
けれども。
髪を追う手が強く、暖かく、頬を包んだ。
離さない。
瞳の奥に宿る深淵の蒼い灯火に焼かれる。体が熱い。
「君に触れたい。もっと触れたい。抱きしめたい。キスしたい。まだ足りない。君が足りない。君の中に入りたい。繋がりたい。ドロドロに掻き混ぜたい。掻き回したい。突き上げたい。
君を私で満たしたい。
まだ足りない。君に私の名を呼ばせたい。私だけを呼ばせたい。気持ち良くしたい。種を植えたい。中をひだまで真っ白にしても、もっと求められたい。
君を……」
独占したい。
「貪欲な男だ。君がたまらなく欲しい気持ちを吐露したら、君はどんな顔をするのだろう?
初めて見る君の顔が欲しいよ。君を閉じ込めて……」
頬を包む熱い体温。
両掌の中で、俺の瞳にはあなたしか映らない。
吐息を奪われる。
唇が犯す。口内を蹂躙する。抗う事すら封じ込めて、息すら吸い取って、濡れた水音を響かせて……
あなたが俺を奪う。
逃げる自由さえも奪ったら……
「私だけのものだ」
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