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★〔5/6ゴムの日記念〕★美味しい時間〔後編②〕

俺があなたを変えたのなら…… 変わったあなたは、俺だけに見せてくれる素顔 俺はあなたを独占しているのかな? (だったら嬉しいな) 俺にも、こんな独占欲があったなんて…… あなたに知られるのが恥ずかしい。 あなたに執着している俺は、知られてはならない素顔だ。 「どうしてだい?」 (えっ) 「私の知らない君がいるなんて、嫉妬してしまうよ」 (でも、だって俺は……) 「Ω統帥《銀の叛逆者(シルバーリベリオン)》……」 「それで?」 「シルバーリベリオンだから」 Ωの頂点に立つ俺は…… αなんか好きにならないと思ってた。 αなんか好きになってはいけないと…… 日本政府に反旗を翻した俺が結婚したのは、日本国内閣副総理大臣 実力で日本の頂点に君臨する男だ。 (あなたは《黒の支配者(シュヴァルツ カイザー)》) 「君が愛したのは『内閣副総理大臣』という肩書きか?」 「違う!」 俺が愛したのは、シキ ハルオミ あなただ。 ハルオミさん! 「『内閣副総理大臣』を愛せば、この国の全てが手に入ったかも知れない。私は、それだけの権限を持っている」 君は、そうすべきだった。 「君は、シルバーリベリオンなのだろう」 頷く事しかできない。 こくり、と…… 胸の奥、冷水が流れていく。俺とハルオミさんは違うんだ。 あなたは政治家 俺は日本に逆らい戦争を起こした、戦犯だ。 俺とあなたは、夫婦になったけど…… 手を伸ばしても。 決して繋げないすれ違いがある。 「それはどうかな?」 あたたかい……んじゃない。 熱い。 心臓がトクトク脈打って、俺の鼓動とハルオミさんの鼓動が重なっている。 ぎゅっ、と。 痛いくらい、あなたが俺を抱きしめてくれる。 この腕から逃れられない。 「許さないよ。逃げ出したって、何度でも捕まえる」 私のΩ 「αで内閣副総理大臣の私を利用する事を選ばなかった君は、Ω軍統帥として失格だ」 もう君は…… ねぇ、私のΩ 「シルバーリベリオンを語る資格のない君は、戦犯じゃない」 シルバーリベリオンとしての選択よりも『私』を選んでくれて、ありがとう。 そんな君だから。 (守りたい) 君を幸せにする責務が私にはあるんだよ。 「ここにいるのはナツキ……」 唯ひとりの…… 「私の運命のΩだ」

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