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【お正月♪】初詣はあまねく愛に包まれて①
「ナツキはなんだった?」
「えっと、俺は……」
「俺は大吉だよ」
手の中の御神籤 をそっと見つめた。
俺のは……
「俺は中吉でした」
「愛人に勝った!」
「おい、こら。ユキト!」
御神籤は勝負じゃないぞ。
「統帥~」
ほら、みろ。アキヒトが可哀想に。しょんぼりしちゃったじゃないか。
(……ん?)
アキヒトが?
あのアキヒトが~~??
(しょんぼりだってー★)
おかしい。
いつもなら言い返してくる筈だ。
なのに黙ってしょんぼりなんて。
(絶対変だ!)
「お腹痛いのか」
「いえ。いたって健康です。なぜですか?」
「お雑煮の餅、食べすぎたのかと思って」
「お子様ですか。統帥じゃありませんよ」
ムっ
それ、どういう意味だ。
俺は成人してるぞ。結婚だってしてるぞ。お前達と!
「統帥のお雑煮が美味しくって、お餅何個でも食べられちゃいます……という話ですよ♪」
「なら、いい……」
ぽっ
ほっぺた熱いの気づかれてないよな?
……嬉しいじゃないか。
お出汁をとったのはハルオミさんだという事は、この際置いておこう。
年始から体調を崩したのではない事にほっとするものの、どうしたんだ?
(アキヒト?)
神様の御前でも言い返していいんだぞ。
いや、あまり良くないか。
俺が心配するから、神様に怒られない程度にちょっとだけ言い返せ。
「俺の御神籤、中吉なんです」
「うん、そうだな」
やっと言い返す気になったか、アキヒト。
「なので、統帥と合体しましょう」
「そうだな……合体しよう~~?」
脳内を「?」マークが乱舞する。
合体、って。どういう事だ?
「中吉が大吉を超えるには、この方法しかありません。俺と統帥の御神籤合体で愛人の大吉を超えましょう!」
「そういうものなのかーっ」
「そういうものです!」
………………知らなかった。
かつて、世界に破壊と混迷の恐怖をもたらしたΩ叛乱軍統帥ともあろう俺がッ
(御神籤は合体させると運気が上がるものだったとはーッ!)
なるほど。
それで明智光秀は、本能寺の変直前、愛宕山で御神籤を三度引いたのだな!
「分かったよ、我が剣・アキヒト。汝に命じる。御神籤合体だ。俺とお前で大吉を超えるぞ」
「Yes, your Majesty.」
………………ん?
「ところで」
「どうしましたか、統帥」
「大吉を超えると何吉になるんだ?」
世界に恐怖をもたらした俺だが、知らない事は結構多い。
「それは……」
「んっ」
唇になにかが触れた。
あたたかくって、柔らかい。
(これって)
唇だァァッ
アキヒトの顔が間近にある。
紛れもない。
いま俺の口を塞いでいるのは、アキヒトの唇!!
「つづきはベッドで」
ね?統帥……
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