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【お正月♪】初詣はあまねく愛に包まれて③

決してお前の事を忘れてたんじゃない! 「じゃあ無視?もっとタチが悪い」 「そうじゃない!」 「夫の前で浮気はいけないよ」 「浮気してない」 「しようとしてたくせに」 ユキトが拗ねてしまった。 「統帥、夫婦水入らずの約束でしょ」 「約束してない!」 「しました!」 アキヒトも拗ねてしまった。 どうすればいいんだー!! 「黙れ、愛人」 「お前こそ離れろ、愛人」 「神様の御前で喧嘩するなー!」 「元はと言えばナツキ」 「統帥」 「お前の」 「あなたの」 「「せいだろ!」でしょう!」 ええェェェーッ 「浮気ダメ」 「絶対」 「いけないよ」 ………………あれ? 声が三つに増えた。 だれ? ……と聞くのは愚問だ。 強健な腕に体が引き寄せられて、ぎゅぎゅっと抱き締められた。 「私の目の前で、ほかの雄とキスかい?」 唇が覆い被さる。 優しく……けれど離れる寸前にチリっと痛みが走った。 唇が下りた場所。 「いけないね」 左の鎖骨がじんじんする。 「心拍数が上がったよ。浮気は図星かい」 「ちがっ」 伝えるより早く、頬を大きな手の平が包んだ。 おでこにチュっ 唇が舞い降りる。 「隠し事はできないよ。私は思考を読み、思考を操る《黒の支配者(シュヴァルツ カイザー)》だ」 唇が右の頬に触れる。 (この場所って……) もしかして。 (全部アキヒトにキスされたところ) ハルオミさんが嫉妬してる? 「あっ」 今度は左。ユキトにキスされたほっぺたに、ハルオミさんが唇を落とした。 ドキンッ ユキトの唇が触れた場所にも、ハルオミさんが…… 「上書きするよ」 キス……… 「おねだりの顔になってるね」 ………俺、そんな目であなたを見てないのに。たぶん。

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